セントジョーンズワートは、日本では西洋弟切草(セイヨウオトギリソウ)と呼ばれる根茎性の多年草ハーブの一種で、花びらの端に黒い点のついた黄色の明るい花を咲かせます。名前の由来となったセントジョーンズとは、聖ヨハネ(英名セント・ジョン)を意味しています。
そして、気持ちを明るくする「サンシャイン・ハート」とよばれるハーブです。
多くの効能があり、中国では4000年、欧州では2000年以上も前から使われているそうですよ。
今回の記事では、
- セントジョーンズワートの効果や効能を知りたい
- 摂取する際の注意点は?
- セントジョーンズワートのオススメの摂取方法を知りたい
など、セントジョーンズワートについての基本情報から楽しみ方までをわかりやすく解説しています。
また、セントジョーンズワートのハーブティの淹れ方や、炎症に効果のあるオイルの作り方などのお役立ち情報も紹介していますので、是非参考にしてみてください。
ハーブについてもっと詳しく知りたい方は、ハーブを使った最強のファスティングを定期的に実践しているハーブマニアが書いているこちらの記事を参考にしてみてください。
セントジョーンズワートの基本情報
名称 | セントジョーンズワート |
英名 |
St john’s Wort |
学名 |
Hyperricum perforatum |
和名 | 西洋弟切草(セイヨウオトギリソウ) |
分類 | オトギリソウ科オトギリソウ属の多年草 |
原産地 | ヨーロッパからシベリア中央部およびトルコ北西部 |
主要成分 |
ルチン、ヒペロシド、イソケルセチン、ケルシトリン、ケルセチン、アメントフラボン、アスチルビン、ミクエリアニン、クロロゲン酸、ヒぺリシン、ヒぺルホリン等。 |
使用部位 |
茎の先端の花部を用いるのが一般的 |
代表的効能 |
外用として切り傷、火傷、内服として不眠症、更年期症状、うつ症状 |
禁忌、注意事項 | ・大量に摂取した場合、日光過敏症に注意 ・他の医薬品との併用の際、効果を変化させる可能性があるため、服用の際は、医師、薬剤師に必ず相談してください。 |
利用法 |
・ハーブティにして摂取する |
セントジョーンズワートの医療的利用の最初の記録は、古代ギリシアにまでさかのぼり、以来利用されてきています。
現代においては、うつ病への処置法(あるいは可能性)として最も知られています。ドイツをはじめいくつかの国では軽度のうつに対して従来の抗うつ薬より広く処方されており、タブレット、カプセル、ティーバッグとして一般の薬局等で購入することも可能です。
欧州では医薬品として扱われているセントジョーンズワートですが、日本においては薬事法上、薬効を標榜しない限り「食品」扱いであり、健康食品として市販されています。
しかしながら、多くの薬物と相互作用するので、厚生労働省からも注意が必要であると喚起されている為、お薬手帳にセントジョーンズワートを使用していることは記載しておくことをおすすめします。
セントジョーンズワートの効果・効能・作用を解説
セントジョーンズワートには、さまざまな効能があるとして注目され、乾燥ハーブ、オイル、サプリメントの形で市販されています。
- 軽いうつ病に効能
- 更年期障害に効能
- 不眠症を和らげる効能
その効能から「ハッピー・ハーブ」「サンシャイン・ハーブ」とよばれている効能について説明していきます。
効果①:軽いうつ病
最初に紹介するセントジョーンズワートの効能は、軽いうつ病への改善効果です。
うつ症状は、脳内のセロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミン等の気分の調節に関わるモノアミン(神経伝達物質)が欠乏すると起こるとされています。
セントジョーンズワートには、他のハーブにはほとんど含まれていないヒぺリシンとヒぺルフォリンという特有の成分があり、セロトニンを分解する酵素の働きを抑え、セロトニンの濃度を上げると考えられます。
そして、脳細胞から放出されたセロトニンは全てが脳細胞に届くわけではなく、もとの脳細胞に戻ってしまう性質をもっていますが、ヒぺルフォリン成分がセロトニン再取り込みを抑える働きを持っている為、これらが脳の神経伝達物質のバランスを整えて機能回復を図り、うつ症状を改善します。
1993年ドイツで行われた臨床試験では、「症状が改善した、もしくは症状が無くなった」という医師による79.9%の客観的評価報告があります。
効果②:更年期障害
二つ目に紹介する効果は、更年期障害の緩和効果です。
更年期障害による不安感やストレス、イライラ、気分の高ぶりや落ち込みなどを緩和してくれるそうです。
女性の更年期障害は女性ホルモンであるエストロゲンの急激な減少によっておこります。
このエストロゲンの減少は脳内物質セロトニンを不安定にします。セロトニンの濃度を高めるセントジョーンズワートが有用にはたらくといいうわけです。
効果③:不眠症を和らげる
三つ目に紹介するのは、不眠症を和らげる効能です。
夜眠くならなかったり、なかなか寝付けない人が摂取すると自然と夜眠くなることが期待できるそうです。睡眠薬のように急激に眠くなるのではありません。
夜眠くなるのはメラトニンというホルモンのはたらきなのですが、このメラトニンを生成するためには、昼間のセロトニンの分泌が必要です。セントジョーンズワートは、セロトニンの濃度を高めるため不眠症を和らげる効能があるということです。
その他の効果・作用
セントジョーンズワートには代表的な3つの効果以外にも様々な効果や作用があります。
・日焼けあとの肌のトラブルケア
・筋肉痛、肩こり、神経痛、打ち身、リウマチなどの痛み緩和への効果
セントジョーンズワートの副作用や注意事項、禁忌など
・光線療法中の使用は禁忌。
・医薬品との併用には注意が必要です。例えば、インジナビル、ジギキシン、シクロスポリ ン、テオフィリン、ワルファリン、経口避妊薬など、医師や薬剤師との相談が必要です。
・子供、妊娠中の方や授乳中の方も医師との相談の上使用することをおすすめします。
・服用している薬がない場合も、お薬手帳にセントジョーンズワートを使用していることを 記載しておくことがおすすめです。
セントジョーンズワートのハーブとしての使い方
セントジョーンズワートは、ハーブティーとして楽しんだり、ドライハーブにしたり、オリーブオイルに漬けてハーブオイルなどにして保存できるので、詳しく解説していきますね。
1 ハーブティ
ハーブティには生と乾燥のハーブのどちらも使えますが、乾燥のほうが味、香り、そして薬効も強く、生のほうはまろやかです。風味の特徴は、乾いた草の香りと土っぽい香り、ほのかな甘みがします。風味の特徴を活かすためにレモンバーム、レモンバーベナとのブレンドもおすすめです。
ティーポットに小さじ山盛り2杯(約5グラム)の乾燥ハーブと1カップの熱湯を注ぎ、蓋をして約10分浸出させます。生のハーブの場合は約15グラムが標準量です。特徴のある風味が気になる場合は、はちみつを加えるとよいでしょう。
2 インフューズドオイルの作り方
〈材料〉
セントジョーンズワート(花の部分)・・・10グラム
オリーブオイル・・・100ml
〈保存容器と用具〉
計量カップ、計量器
密閉ガラス容器(100ml以上)※ガラス瓶は煮沸消毒する
保存用遮光瓶(100ml以上)
①セントジョーンズワートの花の部分を摘み取ります。ハーブの天然オイルが最も濃い日差しを浴びたお昼ごろが摘み取るのに適した時間です。
②花を1日ほど乾燥させます。
③煮沸消毒して乾燥させたガラス瓶にセントジョーンズワートを入れます。
④花がすべてかぶるくらい、オリーブオイルを注ぎます。
⑤蓋をして、日当たりのいい窓辺などに2週間ぐらいおきます。1日1回、瓶を上下して混ぜましょう。赤く色づいてきたらできあがりです。
⑥ガーゼなどでオイルを濾し、セントジョーンズワートの花を取り除きます。
➆保存用遮光ガラス瓶にオイルをうつします。
保存期間:3~6ヵ月
セントジョーンズワートのよくある質問
はい、あります。甘くて爽やかな香りがあり、脳内の神経伝達物質の分泌を調整し、気分を高揚させたり、リラックスさせたりすることができるほか、抗うつ作用や安眠作用、鎮静作用があるとされています。
苗からの育て方:植え付ける時期は、3~4月または9~10月頃が最適です。 ①まず、苗をポットから外し、根に土がついたままプランターや鉢、庭などに植え付けます。 ②特徴として、地下茎がとても伸びていくハーブなので、伸びすぎないように枠植えや鉢植えにするのがおすすめです。 ③2株以上植える場合は、苗と苗の間隔を10センチ以上あけて植えましょう。 ④植え付け後はたっぷりのお水をあげます。 ⑤水やりは1日に1回行います。湿り気のある土を好むので、水切れをさせないようにしましょう。
インフューズドオイルは身体に塗ることで皮膚トラブルや筋肉・関節・精神的な不調の緩和をしてくれます。 アロマオイルはアロマテラピーとして香りを楽しむことで効果がでます。抗うつ作用、安眠作用、鎮静作用などがあり、神経系の分泌を促進やホルモン分泌の促進に作用します。
まとめと研究情報
今回はセントジョーンズワートについて解説しました。
セントジョーンズワートには軽いうつ病の軽減、更年期障害、不眠症など、現代人の多くの方々の悩みのひとつでもあるかと思いますが、効能があり、臨床試験などでも効果が出ている報告があります。他にも、日焼けによる火傷や切り傷、筋肉痛などの外用にも使用でき、摂取方法も多岐にわたります。
さらに、気軽にプランターなどでの栽培もでき、育てやすいハーブでもありますので、興味のある方は、この記事を参考にしてみてください
おさらい
【効果】
- 軽いうつ病の軽減
- 更年期障害の緩和
- 不眠症
【注意点・副作用・禁忌】
- 妊娠中・授乳中・子供は医師に相談の上、使用をするようにしましょう。
- 光線療法中の使用は禁忌。
- 医薬品との併用には注意が必要です。例えば、インジナビル、ジギキシン、シクロスポリ ン、テオフィリン、ワルファリン、経口避妊薬など、医師や薬剤師との相談が必要です。
【オススメの摂り方】
- ハーブティ
- アロマテラピー
研究情報(エビデンス)
下記の研究データ、エビデンスを参考にさせて頂きました。
大うつ病のためのセントジョンズワート
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18843608/
この研究では、セントジョンズワートがうつ病患者に対して有効であることが示唆されました。29のプラセボ対照試験と18の抗うつ薬との比較試験からのデータを分析し、比較されました。結果的に、プラセボと比較して効果があること、標準的な抗うつ薬と同等の効果があること、副作用が少ないことが報告されました。
セイヨウオトギリソウ(オトギリソウ)抽出物がマウスの72時間睡眠不足による不安様行動および酸化的損傷に及ぼす影響
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17918039/
セントジョンズワートの治療は体重、運動活動、不安様行動、および酸化ストレスパラメータに有意な改善をもたらし、睡眠不足による影響を軽減しました。マウスを72時間の睡眠不足にさらし、セントジョンズワートの抽出物やイミプラミンを投与して観測されました。結果として、セントジョンズワートが睡眠不足による不安様行動と酸化的損傷の管理に有用である可能性を示唆しています。
そのパワーを活かした、「自宅で出来る&お腹が減らない」最強のハーブファスティングもオススメなので、興味があれば参考にしてみてください。