イチョウ(学名:Ginkgo biloba)は銀杏(ぎんなん)が実る針葉樹として有名で、日本では秋になると鮮やかな黄金色に色づき美しい景観を作り出します。東京都のシンボルマークにも使われており、日本でも古くから存在している「生きた化石」と呼ばれる馴染みの深い落葉樹です。
- イチョウの葉っぱは食べて大丈夫なの?
- どのように摂取すればいいの?
- そもそもどんな効能があるの?安全なの?
今回はそんな疑問に対して徹底解説します。
また、イチョウ葉エキスには抗血栓作用があるので、血液をサラサラにするようなお薬との併用は控えた方が良いです。その他、副作用や注意点についても解説します。
ハーブを使った最強ファスティングを定期的に実践しているハーブマニアがまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください!
イチョウの基本情報
名称 | イチョウ(Ginkgo) |
英名 | Ginkgo,Maidenhair Tree |
学名 | Ginkgo biloba |
和名 | 銀杏(いちょう)、公孫樹、鴨脚樹 |
分類 | 裸子植物イチョウ科イチョウ属 (落葉高木) |
原産地 | 中国 |
成分 | フラボノイド、ギンコライド、テルペンラクトンなど |
使用部位 | イチョウの緑葉 |
代表的な作用 | 血液循環の促進、抗酸化作用、脳梗塞・認知症を予防する効果、記憶力低下の改善、耳鳴り・めまいの改善作用など |
禁忌、注意事項 | ・過剰摂取は注意(頭痛や腹痛、下痢、発疹の恐れあり) ・妊娠中の人や子供は使用を避ける ・抗酸化作用があるため、血液をサラサラにする薬との併用は避ける ・サプリではギンコール酸が多く含まれるためアレルギーがある人は控える |
利用法 | ・ハーブティーとして飲む ・市販のイチョウ葉エキスのサプリなどでの摂取 |
イチョウの実である銀杏(ぎんなん)が有名ですが、ハーブとしての効能を得る場合は葉っぱを使用します。
血液の流れを良くするのが主な効能なので、血行が悪いと起こりうる病気の予防に効果があります。例えば、脳梗塞や心筋梗塞、高血圧症や冷え性などに効果的です。
そのため、血液をサラサラにさせる薬や糖尿病でインスリンのコントロールを行っている人、抗てんかん薬を飲んでいる人は、併用を避けてください。
また、活性酸素を抑制する作用もあるので、生活習慣病や老化の予防にも期待できます。
摂取方法としては、ハーブティー、またはイチョウ葉エキスのサプリメントを飲むのが一般的です。
イチョウの効果・効能・作用を解説
イチョウに期待される主な効果は血液循環の促進ですが、具体的には、
- 血管拡張作用
- 血小板凝集抑制作用
- 抗酸化作用
これらの3つの作用の相乗効果により血流がよくなります。以下で詳しく説明します。
効果①:血管拡張作用
イチョウに含まれるポリフェノールの一種であるフラボノイドの働きによって、毛細血管を拡張し血行を促進します。
血管を収縮させる物質であるトロンボキサンA2の働きを抑制する作用もあるので、結果的に動脈や気管支の収縮を妨げ血流が良くなるのです。
血管の収縮による悪影響の代表的な例として高血圧があります。高血圧が原因で血液が凝固しやすくなり動脈硬化にも繋がってしまいますので、血管が縮まることが多くの病気の元凶です。
効果②:血小板凝集抑制作用
イチョウ葉エキスに含まれるテルペノイドの一種であるギンコライドBが、血小板活性化因子であるPAFに拮抗する働きをします。
これにより、血小板の凝集が抑制され血液量が増加し血流が良くなるという仕組みです。
血小板凝集の抑制、つまり血液がサラサラになることで、血栓症の予防や動脈硬化を防ぐ効果が期待できます。また、末梢循環障害による手足の痛み・冷感、潰瘍などの症状の改善にも繋がるのでメリットは多いです。
効果③:抗酸化作用
フラボノイドとテルペンラクトンには抗酸化作用があります。主にフラボノイド類には優れた抗酸化作用があり、毛細血管が保護され、活性酸素を除去してくれます。
血液がドロドロになる最大の要因は、血液中の悪玉(LDL)コレステロールが活性酸素によって酸化することです。酸化した悪玉(LDL)コレステロールによって血液の粘度が高まり、流れを悪くしてしまいます。
血管拡張作用と血小板凝集抑制作用に加えて、イチョウ葉エキスには血液中の悪玉(LDL)コレステロールの酸化を抑えて血液をサラサラにさせる効果もあるのです。
一言に血液循環の改善といっても、このように3つの作用の相乗効果によって血流が良くなっているのです。
その他の効果・作用
血流の改善に加えて、耳鳴り・頭痛・記憶障害の治療などにも効果を期待できます。
認知症の予防や記憶力向上の効果もあります。これは抗酸化作用などにより脳の神経伝達が活性化されるためです。また、イチョウ葉エキスに含まれているフラボノイドはニューロン機能を調節し、記憶・学習・認知機能に影響を及ぼす働きがあることがわかっています。
イチョウの副作用や注意事項、禁忌など
イチョウ葉エキスの過剰摂取は控えた方が良いです。また、妊娠中の人や子供は使用を避けてください。理由として、頭痛や腹痛・下痢・発疹などの副作用が報告されているためです。
また、イチョウの効能としては基本的に血流が良くなるということなので、血液をサラサラにするような薬との併用は避けるべきです。
他にも、てんかんの閾値を低下させて、てんかんを誘発する可能性もあります。抗てんかん薬との併用も避けてください。また、ギンコール酸によるアレルギー症状も考えられるので、アレルギーのある人も注意が必要です。
イチョウのハーブとしての使い方
イチョウをハーブとして成分を摂取する方法は主に2つあります。以下で解説します。
ハーブティー
ハーブティー用に処理されたイチョウ(ギンコウ)のドライハーブやフレッシュハーブを使用して飲むのが一般的です。
基本的に一般的なハーブティーと同じ方法で、ティーカップ1杯(約150ml)のお湯にドライハーブ大さじ1(規定量、お好み)を目安に入れて、5分程度蒸らせば完成です。
基本的には味があまり感じない薄味ですが、若干の枯れ草の香りや苦味があります。とはいえ、若干クセのある味なので他のハーブとブレンドして飲むことをオススメします。
サプリメント
イチョウ葉エキスは、イチョウの緑葉にエタノールと水を加えフラボノイドやテルペノイドなどの成分を抽出したものです。
健康商品としてサプリメントでも販売されています。それぞれ用法容量に合わせてそのまま摂取するだけです。ただし、前述した通り血液サラサラ系の薬や抗てんかん薬などとの併用や、過剰摂取は避けてください。
また、人によってはアレルギーを起こす原因物質であるギンコール酸の含有量も注意して購入することをオススメします。
イチョウのよくある質問
日本では医薬品としては認可されておりません。ただし、昔から万能ハーブとして用いられてきた素材であり、著しく健康に害を及ぼす報告はありません。また、ドイツではイチョウ葉エキスの規格品が医薬品として利用されています。
妊娠中、子ども、血管系の薬の使用者、抗てんかん薬の使用者、ギンコール酸のアレルギーがある人、これらの人が避ければ問題ないと言えます。
自分で採取してきて、水洗いと乾燥をさせて作るようなものではありません。基本的には健康食品やサプリメントとして摂取します。イチョウの葉に含まれるかぶれ成分や、アレルギー成分などを細かく取り除かなければならないため、素人では難しいためです。
抗酸化作用のある緑黄色野菜や、食物繊維が多く含まれる大豆などと一緒に摂取することで、相乗効果が期待できます。また、飲んではいけないタイミングは特にありませんが、基本的には食前か食後がベストでしょう。ただし過剰摂取やお薬との併用は避けてください。
まとめと研究情報
イチョウのハーブとしての効能や注意点について解説しました。本記事のおさらいと、根拠となる研究情報をまとめます。
おさらい
1,効果
- 血液循環の促進(血管拡張作用、血小板凝集抑制作用、抗酸化作用)
- 耳鳴り、頭痛の改善
- 記憶、学習、認知機能の向上
2,注意点・副作用・禁忌
- 過剰摂取はしない
- 妊娠中や子どもの使用は控える
- 血液をサラサラにする薬との併用はNG
- 抗てんかん薬との併用はNG
- ギンコール酸のアレルギーのある人は控える
3,摂り方
- ハーブティー
- サプリメント
研究情報(エビデンス)
下記の研究データ、エビデンスを参考にさせて頂きました。
薬物動態、代謝、および代謝組織学的戦略は、カルディオバスキュラー疾患の治療におけるイチョウフラボノイドの基本的なメカニズムを深く理解するために重要な洞察の提供
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35399672/
このイチョウに関する研究では、含有量24%にもなる110種類以上のフラボノイドが血管を拡張し、血液脂質を調節、血小板活性化因子に拮抗し虚血性損傷から保護する能力を示しています。フラボノイドが標的臓器に到達するための、動態および肝臓や腸内細菌の代謝経路を分析しています。イチョウに含まれるフラボノイドには、血液循環の促進の効果があることが分かる研究データです。
記憶と学習の調節因子としてのフラボノイド: 行動効果をもたらす分子相互作用
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22414320/
このイチョウに関する研究では、フラボノイドを豊富に含む食品の摂取は空間記憶と学習の年齢に関連する欠陥を改善することが示唆されています。イチョウに含まれるフラボノイドには、記憶と学習を制御する重要な作用があるため、記憶・学習・認知機能の向上の効果があると考えられる研究データです。
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