フェヌグリークは、別名をコロハと呼ばれるクローバーに似たマメ亜科の一年草です。原産地は地中海地域で、古くからインドやアフリカで使用されてきました。特にインドでは、カレーなどの香辛料として欠かせないスパイスです。
学名のTrigonellaは、花冠の形が三角形をしていることから、ギリシャ語で三角形を意味するtrigononという言葉が由来になっています。 また、foenum-graecumは、ラテン語で干し草を意味するfoenum(faenum)とギリシャ語のgraecumの合成語で、牛や馬の餌に使われていたことからきています。
今回の記事では、
- フェヌグリークの効果
- フェヌグリークの副作用や摂取する際の注意点
- フェヌグリークのおすすめの摂取方法
の3点を中心に、フェヌグリークについての基本情報からお楽しみまでを分かりやすく解説しています。
フェヌグリークは、インドではメジャーなスパイスですが、日本ではあまり知られていません。しかし、フェヌグリークには、たくさんの嬉しい効能があるうえ、食べるととても美味しいハーブです。
そんな嬉しいたくさんの効能と、美味しい食べ方をまとめて紹介しているので、ぜひチェックしてくださいね。
ハーブについてさらに詳しく知りたい方は、ハーブを使った最強ファンスティングを定期的に実践しているハーブマニアが書いているこちらの記事を、参考にしてみてください。
フェヌグリークの基本情報
名称 | フェヌグリーク |
英名 | Fenugreek |
学名 | Trigonella foenum-graecum |
和名 | 胡廬巴(コロハ) |
分類 | マメ亜科フェヌグリーク属 |
原産地 | 地中海地域、南ヨーロッパ、西アジア |
成分 | クマリン、コリン、トリゴネリン、サポニン、ジオスゲニン、エストロゲンなど |
使用部位 | 種子、葉 |
代表的な作用 | 胃腸の調子を整える、ホルモンのバランスを整える、血糖値やコレステロールや中性脂肪を下げる、脂質の代謝促進、炎症を鎮める |
禁忌、注意事項 | ・マメ科アレルギーの人は摂取を控える ・妊娠中の摂取を控える ・糖尿病の人は専門医のもと使用する ・大量の摂取は胃腸に不調を起こすことがある ・他の薬剤を摂取する場合は、摂取前または摂取後数時間あける |
利用法 | ・炒めたり茹でたりして食べる ・ハーブティーにして飲む ・サプリメントとして摂取する |
フェヌグリークの歴史は古く、古代エジプトのミイラの保存に用いられました。また、古代ギリシャ・古代ローマ時代には、家畜の飼料としても使われていました。その後、ヨーロッパやインドを始め様々な国へ、食用や薬用として伝わりました。
日本には江戸時代に伝わりましたが、当時はあまり普及しませんでした。しかし近年フェヌグリークは、胃腸の改善、生活習慣病の予防、ダイエット効果、女性特有の悩み改善など、たくさんの嬉しい効能を持っていることが分かり、注目されるようになりました。
フェヌグリークの効果・効能・作用を解説
フェヌグリークには、主に、胃腸の調子を整えたり、女性特有の悩みを改善したりする効果、生活習慣の予防に効能があります。
- 胃腸の調子を整える効果
- 女性特有の悩みを改善する効果
- 生活習慣病の予防
これらについて順に説明していきます。
効果①:胃腸の調子を整える効果
まず、フェヌグリークの胃腸の調子を整える効果についてです。
フェヌグリークは、食欲不振、胃の不快感、便秘、胃の膨張感、ガスなどに効果があるといわれており、漢方として用いられています。ヨーロッパやインド、中国などでは、古くから薬草として使われていました。
効果②:女性特有の悩みを改善する効果
次に、フェヌグリークの女性特有の悩みを改善する効果についてです。
フェヌグリークには、ジオスゲニン、エストロゲン(卵胞ホルモン)が含まれています。ジオスゲニンは、ホルモンのバランスを整えてくれるため、更年期障害や月経痛、PMS(月経前症候群)といった女性特有の悩みの改善に効果があります。
また、エストロゲンは「美人ホルモン」といわれる女性らしい体作りに欠かせない成分です。このエストロゲンの働きが活発になると、バストアップ効果が期待でき、綺麗なボディライン作りを助けてくれます。
効果③:生活習慣病の予防
最後に、フェヌグリークの生活習慣病の予防の効能についてです。
フェヌグリークには、血糖値やコレステロールや中性脂肪を下げる働きがあります。そのため、糖尿病、動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞といった生活習慣病の予防に効果的なのです。
また、脂質の代謝を高めるコリンという成分が含まれており、代謝がアップすることでダイエットを助ける効能も期待できます。
その他の効果・作用
フェヌグリークはさらに、
- 脳機能を改善する
- 炎症を鎮める
- 母乳の分泌を促す
という効果もあります。
フェヌグリークには、コリン、ジオスゲニン、トリゴネンという成分が含まれています。これらの成分が脳神経を活性化させてくれるので、脳の老化を予防し、認知症やアルツハイマー病などの予防や改善に効果があるといわれています。
また、ジオスゲニンは、母乳の分泌を促す効果があるといわれています。母乳の分泌を促す目的で、フェヌグリーク入りのハーブティーも売られています。ただし、科学的根拠はないので、使用量には注意が必要です。
フェヌグリークの副作用や注意事項、禁忌など
子宮刺激作用があるという報告があるので、妊娠中の摂取は避けましょう。また、子どもの摂取にも注意が必要です。フェヌグリークのハーブティーを飲んだ子どもが意識を失ったという報告もあります。
マメ科の植物なので、大豆、ピーナッツ、グリーンピースなどのマメ科のアレルギーがある人は、摂取を避けましょう。
血糖値を下げる効果があるので、糖尿病の人は低血糖症にならないよう、専門医のもとで注意して摂取してください。
フェヌグリークのハーブとしての使い方
フェヌグリークは甘い香りがしますが、苦みがあります。しかしこの苦みは工夫次第で減らすことができます。葉や種を調理して食べたり、ハーブティーにしたりして摂取するのがおすすめです。
食べる
<葉を調理して>
フェヌグリークの葉は、調理して美味しくいただくことができます。苦みのある野菜なので、加熱して食べるのがおすすめです。
ごま油やオリーブオイルで炒めるとカレーの香りがして、食欲をそそりますよ。他の野菜やお肉と一緒に炒めて食べると美味しくいただけます。また、サッとゆでて、醤油、レモンでおひたし風にしたり、ぽん酢や和風ドレッシングで和えて食べるのも美味しいですよ。
<種をスパイスとして>
フェヌグリークは、インド料理のスパイスとしてよく使われています。カレーには欠かせないスパイスの一つです。
他にも、様々な料理でスパイスとして使うことができます。肉料理やさっぱりしている野菜に使うと、コクが出て美味しいですよ。フェヌグリークの種をパウダーにしたものが売っているので、それを使えば気軽に料理に取り入れることができますね。
また、フェヌグリークの甘い香りを使って、メープルの代用として食べることもできます。メープルを使えない人でも安心して代用できますね。
ハーブティー
フェヌグリークは、甘い香りがしますが苦みのあるハーブティーになります。お好みで、はちみつや牛乳を入れると、甘く美味しくいただくことができます。
<作り方>
フェヌグリークの種を使ってハーブティーを作ります。種はかたい殻があるので、そのままでは有効な成分が抽出できません。
1 種を金槌などで細かく砕く
2 ティーポットにティースプーン水1リットルに対して小さじ1~1杯半を入れ、熱湯を注ぐ
3 3~5分蒸らしたら、ティーカップに注いでいただきます。
※長く蒸らすと苦味がきつくなるので、蒸らし時間は長くなりすぎないようにし、お好みで調整してください。
サプリメント
女性らしいボディライン作りやバストアップを応援するサプリメントや、血糖値が気になる方に向けたダイエットを応援するサプリメントが市販されています。
サプリメントは気軽に摂取できますが、過剰摂取すると下痢などの副作用があるので、摂取量に気を付けましょう。
フェヌグリークのよくある質問
日本ではまだ馴染みがないですが、フェヌグリークの葉は、「メティ」という名で栽培、販売されています。栽培している農家は非常に少なく、東京都江戸川区でメティを普及させるための活動が行われています。
ハーブティーを飲んだ子どもが意識を失ったという報告があります。ハーブティーやサプリメントを子どもが摂取するのは控えましょう。
フェヌグリークは自宅で比較的簡単に育てることができます。春から秋にかけて、気温が15℃以上になる頃に種まきをします。日当たりのよい場所で育て、土が乾いたら水やりをしましょう。
まとめと研究情報
今回は、フェヌグリークについて解説しました。
フェヌグリークは、胃腸の不調や更年期障害、生理痛、PMSの改善に効果があります。さまた、糖尿病、動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞といった生活習慣病の予防、脳機能の改善にも効果を発揮します。
さらに、フェヌグリークは、母乳の分泌を促す効果、ダイエットや美しいボディライン作りにも効果があり、女性とって嬉しい効能も持ち合わせています。
摂取方法としては、炒めたり茹でたりして食べる方法、ハーブティー、サプリメントについて紹介しました。比較的育てやすい植物なので、自宅で栽培して食べたりハーブティーを作ったりすることもできますよ。
フェヌグリークに興味がある方は、ぜひこの記事を参考にしてみてくださいね。
おさらい
【効果】
- 胃腸の調子を整える効果
- 女性特有の悩みを改善する効果
- 生活習慣病の予防
- 脳機能を改善する
- 炎症を鎮める
- 母乳の分泌を促す
【注意点・副作用・禁忌】
- マメ科アレルギーの人は摂取を避ける
- 妊娠中の摂取を避ける
- 糖尿病の人は専門医のもと使用する
- 大量の摂取は胃腸に不調を起こすことがあるので注意する
- 他の薬剤を摂取する場合は、摂取前または摂取後数時間あける
【おすすめの摂り方】
- 炒めたり茹でたりして食べる
- ハーブティー
- サプリメント
研究情報(エビデンス)
下記の研究データ、エビデンスを参考にさせて頂きました。
2型糖尿病の血糖コントロールとインスリン抵抗性に対するトリゴネラ・フェナム・グラエカム(フェヌグリーク)種子の効果:二重盲検プラセボ対照試験
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11868855/
この研究では、フェヌグリーク種子が2型糖尿病患者に対して有益で、高トリグリセリド血症にも良い影響を与える可能性があることを示唆しています。フェヌグリーク種子の効果を調べるため、2型糖尿病患者を対象にした二重盲検プラセボ対照試験が行われました。フェヌグリークを摂取したグループでは、血糖コントロールが改善し、インスリン抵抗性が低下しました。また、血清トリグリセリドが減少し、HDLコレステロールが増加しました。
月経困難症の重症度と全身症状に対するフェヌグリーク種子の影響
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24695380/
フェヌグリーク種子粉末の月経困難症に対する効果を調べた研究では、フェヌグリークを摂取したグループで疼痛が明らかに軽減し、全身症状も改善されました。一方、プラセボ群では改善が見られなかった。フェヌグリークの副作用は報告されませんでした。この結果から、月経中にフェヌグリーク種子粉末を使用することが月経困難症の症状緩和に有効である可能性が示唆されました。
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