ギリシャ語で「khamai melon(大地のリンゴ)」を語源とするカモミールは、ペパーミントなどと共になじみ深く、有名なハーブです。
しかしながら、日本では1962年まで「カモミール」ではなく「カミツレ」と呼ばれていたことなど、その歴史や効果、副作用などはまだあまり知られていないのではないでしょうか。
この記事では、そんなカモミールの
- 効果
- 副作用
- おすすめの楽しみ
についてご紹介しています。
また、カモミールの育て方や歴史など、このハーブをもっと楽しんでいただきながら味わっていただける情報もご紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください!
カモミールの基本情報
名称 | カモミール、カモマイル、カモミーユ |
英名 | chamomile |
学名 | Matricaria recutita(german), Anthemis nobilis(Roman) |
和名 | カミツレ |
分類 | キク科シカギク属 |
原産地 | ヨーロッパ |
主要成分 | フラボノイド類、アズレン誘導体(germanのみ)、コリン、タンリン、クマリン |
使用部位 | 花、葉、茎 |
代表的な作用 | 生理痛緩和 精神鎮静効果 抗炎症作用 アレルギー症状緩和 糖化防止 |
利用方法 |
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カモミールは、ヨーロッパが原産の植物で、ハーブティーに主に使用されるジャーマンカモミールとアロマテラピーによく用いられるローマンカモミールがあります。
ジャーマンカモミールは1,2年草で花のみに香りがあると言われており、抗炎症作用の「カマズレン」を含み、ローマンカモミールは花だけでなく、茎や葉からもリンゴのような甘い香りを発し、リラックス効果が高いと言われています。
カモミールは、ヨーロッパでは古くから民間薬として使用されており、今でもハーブティーやアロマテラピーとさまざまな方法で楽しまれています。
カモミールの効果・効能・作用を解説
ハーブとして利用されているカモミールは2種類あり、ジャーマン(german)カモミールと、ローマン(roman)カモミールがあります。
ローマンカモミールは主に精油として利用されますが、苦みがあるためハーブティーとしては利用されません。
この記事では、ジャーマンカモミールの効果について、主に生理痛緩和、精神鎮静効果、そして糖化防止の3点をご紹介します。
効果①:生理痛緩和
カモミールは女性の生理痛を緩和する効果を持つため、「マザーハーブ」とも言われます。
カモミールには、血行を促進して身体を温め、発汗を促す作用があり、これが生理痛を悪化させる原因である身体の冷え等による血行不良を抑える効果があると言われています。
また、カモミールには筋肉の緊張を緩和する働きがあり、硬くなった子宮口が開く際の腹痛を緩和させます。
さらに、ホルモンバランスを整える機能やリラックス効果もあり、心と体の両面から生理痛を緩和してくれます。
効果②:精神鎮静効果
ジャーマンカモミールは「青りんごの香り」と言われる、フルーティーで甘い香りがします。
この香りには鎮静効果があり、イライラや疲労を鎮めるとされています。
また、温かいカモミールティーを飲むことにより副交感神経が刺激されるため、睡眠導入を促進させる効果も期待できます。
効果③:糖化防止
近年、カモミールは「酸化」ならぬ「糖化」を抑える効果があると注目されています。
糖化とは肌を衰えさせる原因の1つで、食べ物として摂取した糖のうち、エネルギーとして消化されなかったものが、体内のタンパク質と結びつき、肌にダメージを与える「糖化タンパク質」という物質を生産します。
糖化を抑える働きは、抗糖化成分であるカマメロサイドを含むローマンカモミールの方が強いものの、ハーブティーとして飲まれるジャーマンカモミールにも、その働きがあると期待されています。
これらの働きにより、カモミールには女性、そして男性の健康を守るさまざまな効果が期待されています。
効果④:その他の作用
そのほかにも、カモミールに含まれるα-ビサボロールは、抗炎症・抗アレルギー作用があると言われており、アレルギーや湿疹、ニキビや汗疹の症状を緩和させるとされています。
カモミールの副作用や注意事項、禁忌など
- 妊娠中の使用は避ける
- キク科、ブタクサのアレルギーがある人は使用を避ける
- 多量の服用で、下痢などの消化器系の不調が生じる恐れあり
カモミールが持っている、筋肉の緊張を緩和する働きは、生理痛を緩和するのには役立ちますが、子宮の中のものを押し出してしまう作用があるため、妊娠中、特に妊娠初期の方は服用しない方がいいでしょう。
また、キク科アレルギーやブタクサアレルギーのある方は、アレルギー反応を起こす危険があるため、服用は避けることをおすすめします。
発疹や喘息、嘔吐や胃痛、頭痛、下痢などの症状が出たときは、服用を中止してください。
さらに、あまり多量に服用すると、下痢などの消化器系の不調を来すことがあるので、適量を服用することをおすすめします。
カモミールのハーブとしての使い方
カモミールは、ハーブティーやハーブビネガードリンク、アロマテラピーとして楽しむことができます。
ハーブティー
一般的にハーブティーとして使用されているのは、ジャーマンカモミールです。
<ハーブティーの淹れ方>
- 乾燥させたハーブをティースプーン山盛り一杯、ポットに入れる
- 熱湯を150ml入れて3分ほど蒸らす
- ハーブを濾してティーカップに注ぐ
ハーブティーを淹れる際は、ティーポットを使用するほか、1人分であれば茶こしのついたハーブティー用カップを使用するのもお手軽に淹れることができるのでおすすめです。
お好みでミルクや蜂蜜などを入れて飲むと、また少し甘味が加わり飲みやすくなります。
ハーブビネガードリンク
カモミールはビネガードリンクとしても楽しむことができます。
<用意するもの>
- 綺麗な保存便
- お酢1カップ
- ジャーマンカモミールのハーブ(一掴み)
<作り方>
- お酢1カップとジャーマンカモミール一掴みを保存瓶に入れ、2週間漬ける。
- ガーゼを使用しハーブを濾して、お酢だけを抽出。
- お好みで蜂蜜を加えて炭酸で割る。
お酢の効果もあって、疲労回復効果のある、さっぱりとした味わいのハーブビネガードリンクです。
アロマテラピー
アロマテラピーとは、植物から抽出された精油を使用して、健康や美容に役立てていく自然療法です。
使用される精油は、健康への影響を考慮して、人工香料を使用していない100%天然の精油がおすすめです。
アロマテラピーによく使用されるカモミールはローマンカモミールで、リンゴのような甘い香りがすると言われており、リラックス効果が高いとされています。
<おすすめのアロマテラピー>
- 芳香浴:空間に精油を拡散させて楽しむ。キャンドルやアロマディフューザー
を使用 - アロマバス:精油を使用しバスソルトや入浴剤を作りお湯に入れて入浴する
- マッサージ:キャリアオイルに精油を混ぜてマッサージオイルとして使用
ローマンカモミールの精油はさまざまな使用方法がありますが、アトピー性皮膚炎や敏感肌の場合は肌が荒れる可能性があるため、注意が必要です。
カモミールによくある質問
カモミールによくある質問を調べてまとめてみました。
種はお彼岸から10月頃が蒔き時です。15度から20度くらいの気温であれば1~2週間で発芽すると言われています。
種は非常に細かいため、種まき用の土を入れたプランターにばら撒くことをおすすめします。
薄く土を被せ、発芽までは半日陰の場所に置くと共に、水やりをすると種が流れてしまう危険があるため、水受けに水を入れてプランターの底から給水させる腰水の方法で水やりをします。
庭がある場合は、発芽後は日に当てて間引きをして、本葉が5~6枚になったら、株の間を15~20センチ開けてプランターから庭の土に植え替えてください。
開花後に花の中央部分が盛り上がってきたら、1つずつ花を摘み取っていきます。収穫は晴れた日の午前中に行うのが良いでしょう。摘み取った花は風通しの良い場所で陰干しにして乾燥させた後、密閉ビンなどで保管します。
力
人類がカモミールを利用した歴史は古く、紀元前2,000年頃には、バビロニアで薬用として用いられていたと言われています。
中世ヨーロッパでは、特にフランスで、婦人病などの治療薬として用いられました。
また、中世イギリスでは、カモミールの旺盛な繁殖力から、謙虚さと忍耐の象徴と言われてきました。
1525年にイングランド王国で刊行された医薬学問書「バンクスの本草書」には、肝臓の痛みや頭痛にカモミールが効果的であることが書かれています。
日本には、江戸時代の19世紀初めに、オランダ人によって伝えられ、鳥取県や岡山県などで栽培が始まりました。和名の「カミツレ」は、オランダ語の「カーミレ(kamille)」が、「加密列」などの当て字により誤読されたことが由来です。
カモミールのハーブティーは飲みやすく、何にでもよく合うので、さまざまな飲み方を楽しむことができると言われています。
甘味を加えたい場合:蜂蜜やリンゴジュース
スッキリと飲みたい場合:ミントやルイボスティー
まろやかに飲みたい場合:ミルクや豆乳
それぞれ好みに合わせて、さまざまなブレンドを楽しむことができます。
まとめと研究情報
カモミールには、血行改善の効果や鎮静効果、糖化防止効果など、私たちの体に良い影響を与えてくれます。
また、ハーブティーやビネガードリンク、アロマテラピーとさまざまな楽しみ方ができるハーブです。
ただ、過剰摂取で副作用が出たり、キク科、ブタクサのアレルギーがある人はアレルギー反応が出る可能性があったりと注意も必要です。
この記事をよく読んで、安全にかつ効果的にカモミールを日常に取り入れてみてくださいね。
おさらい
<効果・効能・作用>
- 生理痛緩和
- 精神鎮静効果
- 糖化防止
<副作用・禁忌・注意点>
- 過剰摂取で発疹や喘息、嘔吐や胃痛、頭痛、下痢などの副作用の恐れあり
- キク科アレルギーやブタクサアレルギーのある方は使用を避ける
- 妊娠中、特に妊娠初期の使用は避ける
<使用方法>
- ハーブティー
- ハーブビネガードリンク
- アロマテラピー
研究情報
下記の研究データ、エビデンスを参考にさせて頂きました。
カモミールの抗糖尿病効果
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18681440
薬物によって糖尿病になったラットに、21日間カモミールの抽出物を1日500mg/kg 給餌したところ、血糖値の上昇が抑制され、肝臓内のグリコーゲン量が増加しました。また、アルドース還元酵素(ALR2)に対して強力な阻害作用を発揮しました。これにより、カモミールは血糖の上昇を抑えて、糖尿病を抑制する効果があると示唆されています。
カモミールの抗糖尿病効果
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18404309
糖尿病のラットに、14日間、カモミールの抽出物を100mg/kgずつ給餌していたところ、血糖の上昇が抑制され酸化ストレスが軽減し、さらに血糖のコントロールに関わる膵臓のランゲルハンス島細胞も保護されました。これにより、カモミールは糖尿病を抑える効果があると示唆されています。
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