カルダモンは、ショウズクから作られる香辛料です。ショウズクはショウガ科の多年生草木でその種子がカルダモンとなります。元になる植物はショウズク以外にも何種類かありますが、スパイスとしてはまとめてカルダモンと呼ばれています。
今回の記事では、
- ハーブとしてのカルダモンの効果や副作用を知りたい
- カルダモンの美味しい食べ方や飲み方を知りたい
- 効果のエビデンスや実例などを知りたい
これらについて、まとめています。
カルダモンについて、他の人が持った疑問や回答なども含めて解説しているので、ぜひ読んでみてください。
カルダモンはユーカリ油、樟脳、レモン油などの入り混じったようなスパイシーで清涼感のある爽やかな香りが高く評価され、「スパイスの女王」の別名を持ちます。 また、種子に平均5%の精油を含んでいて「香りの王様」とも呼ばれています。こんなカルダモンを、是非参考にして食べて見て下さい。
カルダモンの基本情報
名称 | カルダモン |
英名 | Cardamom |
学名 | Elettaria cardamomum |
和名 | 小豆蔲(ショウズク) |
分類 | ショウガ科ショウズク属 |
原産地 | インド南部西ガーツ山脈 |
主要成分 (100g当たり) | カルシウム383mg、マグネシウム229mg、ビタミンC21mg、鉄14mg、ビタミンB60.2mg |
使用部位 | 種 |
代表的効能 | 殺菌作用、消化促進、血行促進、リラックス効果、口臭予防 |
利用法 | カレーに加える チャイ、コーヒーに加える |
主な生産国はインドとグァテマラです。
カルダモンの清涼感のあるスパイシーな香りには、緊張やイライラを和らげる効果もあります。また、発汗作用もあり風邪のひきはじめに効果的です。
中近東ではコーヒーにカルダモンの精油や種子の粉末を加えた「カルダモンコーヒー」が好まれています。
インドでは、紅茶にカルダモンなどのハーブとミルクを加えてマサラティーにするのが一般的な飲み方です。
他にも、ココア・ホットミルクに加えるのもおすすめです。
カルダモンの効果・効能・作用を解説
カルダモンの効果・効能・作用としては、①消化器官・呼吸器官の改善、②口臭の予防、③発汗作用などが挙げられます。これらについて以下説明します。
効果①:消化器官・呼吸器官の改善
カルダモンの主成分は「テルピニルアセテート」で、胆汁の分泌を促し消化を助けます。胃もたれやお腹の張りを改善するほか、腸内にたまったガスを取り除くなどの胃腸関係のトラブルの改善が期待できます。
また、呼吸器官の不調に対しても効果があるといわれており、咳や痰を抑える働きがあります。
効果②:口臭の予防
カルダモンは古くから口臭のケアに使われてきました。
これは、カルダモンには、シオネールと言う植物性の殺菌成分が含まれており、口臭を抑える成分が多量に含まれているからです。そのため、食後やアルコールを摂った後でカルダモンの種を噛むと効果があります。
また、ハーブティーにして飲むと、口臭の予防になり、消化も早めてくれます。
効果③:発汗作用
カルダモンは、体の血の巡りをよくし、体を温める作用があります。そして、発汗を促す働きもあるので、ダイエット効果も期待できます。また、発汗により体温を下げる作用もあるので、風邪の引きはじめにも効果的です。
その他の効果・作用
その他、カルダモンには、自律神経のバランスを整える酢酸リナリルや、血圧降下作用のあるリナロールなどの香り成分が含まれるため、心身をリラックスさせる効果が期待できます。
また、カルダモンを摂取すると脳の血流がアップすると言われています。その効果で、脳が活性化され集中力が上がるとされています。
カルダモンの副作用や注意事項、禁忌など
カルダモンは、消化不良のリスクを高める可能性があります。適量以上に摂取すると、胃腸に良いはずの効果が増幅され過ぎて、かえって健康を害することになってしまいます。
また、カルダモンに対してのアレルギー症状が現れる場合もあります。初めて食べるときには気をつける必要があります。
さらに、カルダモンを過剰摂取することによって、胆石が悪化する恐れがあります。カルダモン自体が胆石を悪化させるというわけではありませんが、痛みが麻痺して危険な状態になるまで気が付かないという恐れがあります。
カルダモンのハーブとしての使い方
ここではカルダモンのハーブとしての使い方を2つ見てみましょう。一つはコーヒーに入れる方法で、カルダモンコーヒーを取り上げました。もう一つは、ケーキに入れる方法で、カルダモンロールを取り上げました。以下、順番に見ていきましょう。
摂取方法①:コーヒーに入れる
アラブの国々で愛飲されているカルダモンコーヒーには、カルダモンがたっぷり使われています。 カルダモンコーヒーは、現地ではお客様に歓迎の意を伝えるために飲む飲み物です。家で簡単に作れますので、作ってみましょう。
作り方は簡単です。まずは、カルダモンを買ってきます。カルダモンは緑の皮に包まれたホール状ものと、パウダー状のものが販売されています。ホールはスパイス・ハーブ専門店などで、パウダーは輸入食材店などで購入できます。
カルダモンの種は固めです。そのままでは芳香が弱いので、つぶして使います。ここでおすすめしたいのが、スパイスやハーブなどを粉砕するための道具「スパイスミル」です。
カルダモンの量はコーヒー1杯あたり1ホールが目安です。でも初めは香りが強烈なので、お好みで調整してください。
ドリップする場合は、挽いたコーヒーにすりつぶしたカルダモンを加えて、通常のコーヒーを入れるのと同様に、お湯を注いでください。コーヒーメーカーなどを使用する場合は、出来たコーヒーにすり潰したカルダモンを加えて、2分ほど蓋をして蒸らします。
コーヒーにカルダモンを加えると、スキッとした香りとコーヒーとの相性が抜群で、一味違ったコーヒーが楽しめます。
カルダモンコーヒーのレシピ
コーヒー150ml
カルダモンパウダー少々
砂糖お好みで
カップにコーヒーを注ぎます。
カルダモン、砂糖を加えて混ぜます。
摂取方法②:ケーキに入れる
スウェーデン、ノルウェー、フィンランドなど、北欧の国々はバイキング時代からカルダモンを使ってきた歴史があり、世界中でも特にカルダモンを愛好することで有名です。
特に、パンやお菓子は有名です。 スウェーデンのシナモンロール「Kanelbullar」は、シナモンと一緒にカルダモンが使われており、一度食べたら忘れられない味です。
また、シナモンシュガーの代わりに「カルダモンシュガー」を作って、パンやお菓子に使うこともあるそうです。
カルダモンロールのレシピ
分量 10 個分
材料
生地
牛乳 180cc
ドライイースト 小さじ2
砂糖 40g
塩 小さじ½
粗挽きカルダモン 小さじ1
強力粉 140g
薄力粉 140g
バター 40g
フィリング
バター 35g 室温で柔らかくする
グラニュー糖 大さじ3
粗挽きカルダモン 小さじ1
トッピング
卵液 適量
グラニュー糖 大さじ1
粗挽きカルダモン 小さじ½
作り方
1,大き目のボウルで40℃くらいに温めた牛乳とイーストを混ぜ合わせる。砂糖、塩、カルダモンを加え泡立てでかき混ぜる。
2,薄力粉と強力粉を3回くらいに分けて加えながら、泡立てでかき混ぜる。粉を全部加えたら手に替えて捏ねる。
3,ある程度捏ねたらバターを加えて捏ね合わせる。ボウルのままでやりづらかったら台に空けて捏ねる。
4,生地に弾力が出てボウルの内側、あるいは台から自然に離れるようになるまで15分くらい捏ねる。
5,生地をボウルに入れてラップで覆い、2~3倍の大きさになるまで45分~1時間くらい発酵させる。
6,生地が発酵したら30秒ほど軽く捏ね、打ち粉をした台の上で40cm×35cmくらいの四角形にのばす。40cmの端を1cmくらい塗り残す。
7,フィリングの材料を混ぜ、生地の上に均等に延ばす。短い方の辺を半分に折り、4cm幅で10本に切り分ける。
8,切り分けた生地の中心に切り込みを入れて広げねじり、端から渦に巻く。巻き終わりは下に入れる。
9,クッキングペーパーを敷いたオーブン用の天板の上に並べ、乾いた布をかぶせて45分くらい、1.5倍から2倍くらいの大きさまで発酵させる。
10,表面に溶き卵を塗り、グラニュー糖とカルダモンを混ぜたトッピングを振りかける。
11,200℃から220℃に予熱したオーブンで8分から10分焼く。焼きあがったらラックに乗せ冷めるまで乾いた布をかぶせる。
カルダモンのよくある質問
カルダモンの香りは独特なもので、他のスパイスでは代用することができません。 お菓子にカルダモンが使用されている場合、シナモンで代用する方がいるようですが、風味が全く異なります。
カルダモンの精油には鎮静作用があり、気持ちを落ち着ける効果があるとされています。なので、不安やイライラを鎮める効果が期待できます。
カルダモンは生薬としても使われていますが、生薬「ショウズク」については妊婦に対しての安全性が確立されていません。生薬としての利用法とスパイスとしての使用法、また摂取する量や回数によっても安全性が異なりので、妊娠中の方は医師に相談して下さい。
カルダモンは世界中で長く使われているスパイスですが、摂取量と副作用については科学的に証明された明確なデータがありません。持病やアレルギーなどをお持ちの方は、医師に相談して下さい。
カルダモンは、ラットによる実験の結果、肥満を改善する可能性があるとのことです。
まとめと研究情報
今回は、カルダモンの効果・効能・作用、副作用、ハーブとしての使い方等をまとめてみました。
カルダモンの効果・効能・作用としては、①消化器官・呼吸器官の改善、②口臭の予防、③発汗作用などが挙げられます。
また、カルダモンの副作用としては、消化不良、アレルギー症状、胆石の悪化などが挙げられます。
また、カルダモンのハーブとしての使い方は、コーヒーに入れる方法、ケーキに入れる方法を取り上げました。
是非お試し下さい。
おさらい
1,効果
・消化器官・呼吸器官の改善
・口臭の予防
・発汗作用
2,注意点・副作用・禁忌
・消化不良
・アレルギー症状
・胆石の悪化
3,摂り方
・カルダモンコーヒー
・カルダモンロール
研究情報(エビデンス)
下記の研究データ、エビデンスを参考にさせて頂きました。
大型カルダモン抽出物は、内皮酸化還元生物学を調節することにより、大動脈におけるラミプリルの血管保護作用を高めます。インシリコおよびインビトロ研究に基づく評価
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35996271/
カルダモンの研究では、カルダモンの抗酸化特性が高血圧の治療に相乗的な利益をもたらし、ラミプリルの既存の副作用を軽減する可能性があることを示しています。ニトロ-L-アルギニンメチルエステルとインキュベートした単離大動脈の一酸化窒素の酸化還元生物学と血管反応性に対する大きなカルダモンとラミプリルの水性抽出物の影響を調べました。大型カルダモン抽出物の血管保護作用は、NADPHオキシダーゼ活性を抑制することによって内皮酸化還元生物学を回復する能力に主に関連していることが証明されています。
実験ラットにおけるスパイスカルダモン(エレタリアカルダモム)の抗高コレステロール血症の影響
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27888503/
カルダモンの研究では、高コレステロール血症の状態における脂質恒常性の変化を回復するカルダモン油の可能性を示しています。高コレステロール血症ラットにおけるカルダモン油の経口投与によって観察し、結果としてカルダモン粉末およびカルダモン油による食事介入によるアテローム発生指数の有意な減少は、カルダモンの潜在的な心臓保護効果を示されていることが証明されています。
そのパワーを活かした、「自宅で出来る&お腹が減らない」最強のハーブファスティングもオススメなので、興味があれば参考にしてみてください。