ブルーマロウは、ヨーロッパやアジアが原産のアオイ科ゼニアオイ属の多年草です。別名コモンマロウとも呼ばれます。
その名の通り、ハーブティーにすると鮮やかな青色になります。そして、紫色、ピンク色に変化するという不思議なハーブです。青からピンクに変わる様子を空に重ね合わせて、「夜明けのハーブティー」と言われています。
学名の「Malva」は、ギリシア語の「柔らかくする」という意味の「malache」が語源となっています。これは、粘液に緩和剤効果があるためです。また、「sylvestris」は「森林性の、野生の」という意味です。
今回の記事では、
- ブルーマロウの効果
- ブルーマロウの副作用や摂取する際の注意点
- ブルーマロウのおすすめの摂取方法
の3点を中心に、ブルーマロウについての基本情報からお楽しみまでを分かりやすく解説しています。
また、ブルーマロウの美味しいハーブティーの淹れ方や色の秘密、ブルーマロウの葉を使ったレシピなどのお役立ち情報も紹介しています。ぜひ、参考にしてくださいね。
ハーブについてさらに詳しく知りたい方は、ハーブを使った最強ファンスティングを定期的に実践しているハーブマニアが書いているこちらの記事を、参考にしてみてください。
ブルーマロウの基本情報
名称 | ブルーマロウ |
英名 | Blue mallow |
学名 | Malva sylvestris |
和名 | 薄紅葵(ウスベニアオイ) |
分類 | アオイ科ゼニアオイ属 |
原産地 | ヨーロッパ、アジア |
成分 | アントシアニン、ペクチン、タンニン |
使用部位 | 花、葉 |
代表的な作用 | 皮膚・粘膜の保護作用、鎮静作用、利尿作用、軟化作用など |
禁忌、注意事項 | 妊娠中、授乳中の摂取は注意が必要 薬を内服する場合は、ブルーマロウを飲む1時間前には服用する |
利用法 | ハーブティー 葉を調理して食べる |
ブルーマロウは、紀元前8世紀頃にはすでに使われており、古くから親しまれているハーブの一つです。栽培も盛んに行われ、1,000種類以上の変種があると言われています。
16世紀頃のヨーロッパでは、万能薬として扱われ、医師たちも「毎日飲むとどんな病気からも身を守ることができる」と説明していたそうです。日本には、江戸時代の頃に伝わりました。
ブルーマロウの草丈は60~200cmで、大きな葉をたくさん茂らせながら生長します。そして、5月~7月頃に紫色の花が咲きます。花びらの中心に紫色のスジが入っているものや、薄いピンクの花びらに濃い紫色のスジが入るものなど、花の色には様々な種類があります。
ブルーマロウの効果・効能・作用を解説
ブルーマロウには、喉の調子を整える効果、胃腸の調子を整える効果、眼精疲労を和らげる効果などがあります。
- 喉の調子を整える効果
- 胃腸の調子を整える効果
- 眼精疲労を和らげる効果
これらについて順に説明していきます。
効果①:喉の調子を整える効果
まず、ブルーマロウの喉の調子を整える効果についてです。
ブルーマロウは、粘液質を含んでいます。この粘液質が喉や気管支などの粘膜を修復し、炎症を緩和してくれます。喉に痛みや腫れがある時に飲んだり、うがいをしたりすると効果的です。
効果②:胃腸の調子を整える効果
次に、ブルーマロウの胃腸の調子を整える効果についてです。
ブルーマロウに含まれる粘液質は、消化器官の粘膜も保護してくれます。そのため、胃炎や腸炎の症状、喫煙による粘膜の炎症を緩和する効果があります。
また、胃腸薬にも使われているペクチンが含まれているので、便秘や下痢の改善、整腸作用、腸内の善玉菌を増やして悪玉菌を抑える効果も期待できます。
効果③:眼精疲労を和らげる効果
最後に、ブルーマロウの眼精疲労を和らげる効果についてです。
ブルーマロウには、アントシアニンという成分が含まれています。アントシアニンは目の機能を回復させる成分で、眼精疲労を和らげる効能があります。さらに、近眼の予防にも効果があります。
その他の効果・作用
ブルーマロウはさらに、
- 膀胱炎や尿道炎による炎症を和らげる効果
- 傷の炎症や皮膚炎、湿疹の緩和
- 口内炎による炎症を和らげる効果
- 美肌効果
などが期待できます。
ブルーマロウには抗炎症作用があるので、膀胱炎や尿道炎に効果があります。また、直接塗ることで、傷の炎症皮膚炎や湿疹が緩和されます。
口内炎の時にブルーマロウを口に含むと、粘液質の粘液成分が口内炎の表面にうっすらと膜を張るので、ピリピリした痛みを和らげることができます。
粘液質は、肌の保湿にも効果があります。さらに、抗酸化作用があるので、お肌を若々しく保ってくれます。
ブルーマロウの副作用や注意事項、禁忌など
ブルーマロウの副作用は、特に報告されていません。通常の範囲内であれば、安全に摂取できます。
ノンカフェインで、妊娠中や授乳中の摂取も問題は確認されていません。しかし、安全が確立しているわけではないので、心配な方は妊娠中や授乳中の摂取は控えましょう。
また、ブルーマロウには粘液質が多く含まれているため、薬の吸収に影響を与えてしまう可能性があります。薬を内服する場合は、最低でもブルーマロウを飲む1時間前には服用しましょう。
ブルーマロウのハーブとしての使い方
1 ハーブティー
ブルーマロウは、花をハーブティーに使うので、ほんのりフローラルな香りと味がします。人によっては無味無臭と感じるほどクセのない味です。色の変化も楽しみながら、ハーブの時間を楽しめます。
<ブルーマロウハーブティーの淹れ方>
ブルーマロウハーブティーの淹れ方を紹介します。高い効果を求めるならお湯出しで、色を楽しみたいなら水出しで淹れるのをおすすめします。
お湯だし
1 お湯200ccとブルーマロウの花を7個くらい用意する。
2 ティーポットにブルーマロウを入れてお湯を注ぎ、3分くらいでできあがり。
お湯の温度は、熱すぎるとすぐに色が変化してしまうので70℃前後がおすすめです。効能をできる限り引き出したい場合は、90℃前後にすると効果的です。抽出時間は、お好みで調節してください。
水出し
1 お湯出しと同じ分量の水とブルーマロウを用意する。
2 1~2時間ほど置いてできあがり。
水出しは、お湯出しをするよりも青色が持続します。色の変化をゆっくり楽しみたい方におすすめです。
<ブルーマロウのハーブティーの色の秘密>
ブルーマロウのハーブティーの一番の特徴である色の変化の秘密について紹介します。
ブルーマロウは、淹れたては鮮やかな透き通った青い色で、時間が経つにつれて徐々にその色が変化し、紫色に変わっていきます。カットレモンやレモン果汁を垂らせば、ピンク色に変わります。
なぜ、時間が経つと青色から紫色に変わるかというと、濃度がだんだん濃くなるからです。
また、ピンク色に変わる理由は、アントシアニンという色素が関係しています。アントシアニンは、アルカリ性になると青色に、酸性になると赤色に変化する性質を持っています。
ブルーマロウには、このアントシアニンが含まれており、レモン汁をかけることで酸性に傾き、色がピンク色に変化するのです。
2 食べる
ブルーマロウの葉は柔らかくクセの無い味で、野菜のように食べられます。香りや味はほとんどありませんが、粘液質を含んでいるので、ヌメヌメとした食感があります。
ブルーマロウは大きいもので2m近くになり、大きくなればなるほど、茎は太く葉も大きくなります。硬くなった茎や、葉の部分はゴワゴワしてしまい下茹でしても美味しくないので、柔らかく若い葉を摘んで食べるのがおすすめです。
ブルーマロウの葉を使ったレシピを紹介します。
<ブルーマロウのナムルの作り方>
材料(2人前)
ブルーマロウの葉・・・やわらかく若いもの30枚~40枚
人参・・・・・・・・・1/2本
きゅうり・・・・・・・1/2本
白ごま・・・・・・・・おこのみで
ごま油・・・・・・・・大さじ2
塩・・・・・・・・・・おこのみで
1 ブルーマロウの葉をよく洗い、塩ゆでする。葉が柔らかくなったら火からおろす。
2 冷水にさらしてアクを抜く。
3 人参、キュウリを細切りにして塩もみしておく。
4 ブルーマロウの葉の水分を絞り、塩もみしたキュウリと人参を入れ、ごま油で和えてできあがり。
この他にも、チャーハンやサラダ、汁物に使っても美味しく食べられます。
ブルーマロウのよくある質問
ブルーマロウは、移植を嫌うので、一度植えたら植え替えをしません。大きく成長するハーブなので、スペースにゆとりをもって植えます。鉢植えの場合は、土の表面が乾いたらたっぷり水を与えます。地植えの場合の水やりはほぼ不要です。花は5月頃から咲きますが、すぐに咲き終わってしまうので、朝一で摘むのをおすすめします。
副作用は報告されていません。ノンカフェインで刺激も少ないので、安心して飲むことができます。しかし、胎児や乳児への影響についてはまだ分かっていないので、妊娠中や授乳中の方は心配であれば控えた方がよいでしょう。
穏やか、柔和な心、やさしさ、魅力的などです。
どちらも同じ青い色のハーブティーですが、一番の違いは、粘液質があるかないかです。ブルーマロウには粘液質が豊富に含まれていますが、バタフライピーには含まれていません。
まとめと研究情報
今回は、ブルーマロウについて解説しました。
ブルーマロウは、鮮やかな青色から、紫色やピンク色に変化する、見た目が美しいハーブティーで、古くから人々に親しまれてきました。主に、喉の調子を整える効果、胃腸の調子を整える効果、眼精疲労を和らげる効果があることが分かりました。
摂取方法としては、ハーブティー、葉を調理して食べる方法について紹介しました。
ブルーマロウに興味がある方は、ぜひこの記事を参考にしてみてくださいね。
おさらい
【効果】
- 喉の調子を整える効果
- 胃腸の調子を整える効果
- 眼精疲労を和らげる効果
- 膀胱炎や尿道炎による炎症を和らげる効果
- 傷の炎症や皮膚炎、湿疹の緩和
- 口内炎による炎症を和らげる効果
- 美肌効果
【注意点・副作用・禁忌】
- 妊娠中、授乳中の摂取は注意が必要
- 薬を内服する場合は、ブルーマロウを飲む1時間前には服用する
【摂り方】
- ハーブティー
- 葉を調理して食べる
研究情報(エビデンス)
下記の研究データ、エビデンスを参考にさせて頂きました。
マルバシルベストリス抽出物は、雄ラットの炭酸リチウム誘発性腎障害を保護します
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27780138/
この研究では、Malva sylvestris抽出物が炭酸リチウムによる腎障害に対する効果を評価しました。ラットに抽出物を経口投与し、続いて炭酸リチウムを投与しました。抽出物は抗酸化成分を豊富に含み、in vitroで高い抗酸化能を示しました。炭酸リチウムは腎機能に悪影響を及ぼしましたが、Malva sylvestris抽出物の前処理はこれらの悪影響を回復させました。結論として、Malva sylvestris抽出物は炭酸リチウムによる酸化的損傷を軽減し、腎機能を保護する可能性があることが示唆されました。
ラットの放射線誘発性肝臓、腎臓、腸の損傷に対するMalva sylvestris L.の放射線防護効果:組織病理学的研究
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36969320/
この研究は、Malva sylvestris L.(アオイ科植物)が腹部放射線療法による肝臓、腎臓、腸の組織への放射線誘発損傷を軽減する可能性を評価しました。実験では異なる用量のアオイ科およびマロー治療を施し、照射後の組織学的評価を行いました。結果から、アオイ科植物の適切な用量が放射線誘発の損傷を軽減し、特に400 mg / kgの用量が有効であることが示唆されました。この研究は、Malva sylvestris L.が放射線防護剤として有望であることを示唆し、肝臓と腎臓の組織保護に寄与する可能性があることを強調しています。
そのパワーを活かした、「自宅で出来る&お腹が減らない」最強のハーブファスティングもオススメなので、興味があれば参考にしてみてください。