アニスシードは、和名をセイヨウウイキョウといい、古代エジプト時代から防腐や消化促進の目的で使われてきたハーブです。甘くスパイシーな香りが特徴的で、現在ではお菓子や料理の香りづけにも使われています。
今回はアニスシードについて
- 効果
- 副作用
- おすすめの楽しみ方
この3つのポイントを、ハーブを使った最強ファスティングを定期的に実践しているハーブマニアがまとめました。
ほかにも、アニスシードの栽培方法やブレンドにおすすめのハーブティーもご紹介するので、ぜひ最後までチェックしてくださいね!
アニスシードの基本情報
名称 | アニスシード |
英名 | anise seed,aniseed |
学名 | Pimpinella anisum |
和名 | 西洋茴香(セイヨウウイキョウ) |
分類 | セリ科ミツバグサ属 |
原産地 | 地中海東部沿岸 |
成分 | アネトール、アニスケトン、リモネン、コリン、粘液質、クマリン、フラボノイド、サポニンなど |
使用部位 | 種子 |
代表的な作用 | 女性ホルモン様作用、去痰作用、消化促進作用、消臭作用、防腐作用、利尿作用 |
禁忌・注意事項 | 妊娠中や授乳中の人、エストロゲン依存性のがん既往歴のある人は使用を避ける |
利用法 | ・お菓子や肉料理、魚料理の香りづけとして ・ハーブティーとして飲む |
地中海東部沿岸原産の植物「アニス」は、高さ40~60cmの一年草で、羽根状の葉を持ち、白色の花を咲かせます。アニスの種子が、ハーブの「アニスシード」として使われます。古代エジプトでは薬草や防腐剤として用いられ、現在ではお菓子やリキュールの香りづけに使われています。
主成分のアネトールには女性ホルモンのエストロゲンに似た働きがあり、更年期障害の予防が期待されます。ほかにも痰を切る効果や消化促進効果の期待できる成分も含まれています。ただし妊娠中・授乳中の人、乳がんや子宮がんなどのエストロゲンが関わるがんの既往歴がある人は使用を避けるようにしましょう。
アニスシードの効果・効能・作用を解説
アニスシードに期待される代表的な効果は3つあります。
- PMSや更年期障害の予防効果
- 風邪や気管支炎の予防効果
- 消化機能の向上効果
それぞれ詳しく見ていきましょう。そのほか期待できる効果についても紹介します。
効果①:PMSや更年期障害の予防効果
アニスシードに含まれる精油成分のアネトールは、構造が女性ホルモンのエストロゲンと非常に似ています。アネトールがエストロゲンのような働きをするため、ホルモンバランスを整える効果があると言われています。
そのため月経不順や月経前症候群(PMS)、更年期障害で起こるさまざまな不調をやわらげることが期待されます。またエストロゲンには骨からカルシウムが溶け出すのを防ぐ役割があるため、アネトールに骨粗しょう症を予防する働きがあることも期待されています。
効果②:風邪や気管支炎の予防効果
アニスシードに含有している配糖体のサポニンに痰を切る作用があると言われています。風邪や気管支炎で痰が絡むのを防いで、咳を楽にする効果が期待できます。サポニンには免疫細胞の機能を活性化する働きがあるため、風邪や気管支炎の予防も見込めます。
アニスシードには粘液質も含まれているため、喉の粘膜を保護して炎症を抑える効果も期待できます。
効果③:消化機能の向上効果
アニスシードに含まれる精油成分のリモネンは、唾液の分泌を促したり、血行を促進して胃腸の働きを改善したりする働きがあると言われています。飲食物の消化がスムーズになり、胃もたれや腹痛、げっぷの改善が期待されています。粘液質も含まれているため、胃粘膜を保護して消化吸収を高めることが見込めます。
その他の効果・作用
上記で挙げたほかにも、消臭・防腐作用による口臭の予防や、利尿作用によるむくみの予防も期待されています。
アニスシードの副作用や注意事項、禁忌など
アニスシードは、体質によってアレルギー反応が生じることがあります。
安全性としてはAHPA(米国ハーブ製品協会)のガイドラインにおいて、アニスシードは安全性クラス1に設定され、一般的な量を食事やハーブティーで摂る場合は問題ないとしています。
ただし、アネトールには女性ホルモンのエストロゲンに似た働きがあるため、妊娠中・授乳中の人、乳がんや子宮がんなどのエストロゲンが関わるがん既往歴のある人は使用を控えるようにしましょう。
アニスシードのハーブとしての使い方
アニスシードは甘くスパイシーな香りが特徴のハーブです。主な使い道には、ハーブティーや料理があります。美味しくいただくためのポイントも合わせてご紹介します。
ハーブティー
アニスシードを手軽に摂るにはハーブティーが一番。実のままだと成分があまり抽出されないため、軽く砕いてから使用しましょう。香り成分が失われないように、ハーブティーに使用する直前に砕くのがポイントです。
〈美味しいハーブティーの入れ方〉
- 軽く砕いたアニスシードをティースプーン1杯、ポットに入れる
- 1のポットに沸騰した湯(約200mL)を注いて、5~8分ほど蒸らして好みの濃さにする
- 2のポットからハーブを濾しつつ、ティーカップに注ぐ
アニスシード単独のハーブティーでいただくのも良いですが、ほかのハーブとブレンドするとさらに美味しいハーブティーが楽しめます。エキナセアやパッションフラワー、カモミールとの相性が良いと言われているので、ぜひお試しください。
料理
香り豊かなアニスシードは料理にも大活躍。カレーやシチューなどの煮込み料理から、さまざまな肉・魚料理、サラダ、スープ類と幅広く使われています。カレーにアニスシードを加えると、スパイスが効いて食欲がそそられますよ。
アニスシードにはほのかな甘みもあるので、お菓子の香りづけにもおすすめです。手作りするなら、クッキー生地にアニスシードとローズマリーを一緒に練りこんで焼き上げると、美味しいハーブクッキーが作れます。
アニスシードのよくある質問
アニスシードには精油(エッセンシャルオイル)も販売されています。
香りはわりと強いタイプなので、部屋全体に香りを広げて楽しむ芳香浴がおすすめです。マグカップにお湯を張り、アニスシード精油を数滴垂らしてみましょう。
アニスは種または苗から育てられます。日当たりが良ければ鉢植えでも地植えでも育てられますが、移し替えは嫌うため注意しましょう。植えるのに適した時期は3~5月頃です。
ハーブ専用の培養土を使えば肥料を与える必要はなく、土が乾燥してきたらたっぷり水を与えましょう。種が収穫できるのは夏の終わりから秋頃になります。
アニスシードはスパイスやハーブの専門店で購入できます。通信販売もされていますが、初めて使用する場合は、使い道を相談できるように実店舗で購入するのが良いでしょう。
まとめ
アニスシードは甘くスパイシーな香りが特徴で、古くから儀式や料理に用いられてきたハーブです。PMS・更年期障害の緩和、風邪・気管支炎の予防、消化機能の向上に役立つと期待されています。一般的な量の摂取であれば問題ありませんが、妊娠中・授乳中の人や子宮がん・乳がんの既往歴のある人は使用を控えるようにしましょう。
おさらい
〈効果〉
- エストロゲン様作用
- 去痰作用
- 消化促進作用
- 消臭作用
- 利尿作用
〈注意点・副作用・禁忌〉
- 妊娠中・授乳中の人は使用を避ける
- 子宮がんや乳がんなどエストロゲン依存性のがん既往歴のある人は使用を避ける
〈摂り方〉
- ハーブティー
- 料理
研究情報(エビデンス)
下記の研究データ、エビデンスを参考にさせて頂きました。
アニスシードによる夜間の舌の血管浮腫
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18088024/
アニスシードに関する研究では、舌の血管浮腫が報告されました。1人の患者において、アニスシードに対する特定の免疫グロブリンE(IgE)結合バンドが観察され、症状の原因と考えられるタンパク質が特定されました。アニスシードは過敏症の原因となる可能性があると示唆されています。
アニスシードオイルは、ラットにおいてブドウ糖の吸収を増加させ、尿量を減少させることが示されました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/14623036/
アニスシードオイルは、ラットの腸管と腎臓上皮を通る輸送プロセスに影響を与え、ブドウ糖の吸収を増加させ、尿量を減少させる効果があることが示されました。アニスシードオイルはナトリウム-カリウムATPアーゼの活性を増加させ、腸管からの水の吸収や大腸のナトリウム-カリウムATPアーゼの活性には影響を与えませんでした。また、アニスシードオイルは尿量を減少させ、腎臓のナトリウム-カリウムATPアーゼの活性を低濃度でも増加させました。これらの結果から、アニスシードオイルはナトリウム-カリウムATPアーゼの活性を増加させ、ブドウ糖の吸収を促進することで腸管の効率を向上させると考えられます。また、腎臓においても同様のメカニズムにより尿量を減少させる作用があります。
そのパワーを活かした、「自宅で出来る&お腹が減らない」最強のハーブファスティングもオススメなので、興味があれば参考にしてみてください。