ミルクシスルとは、マリアアザミ、オオアザミともいい、薄紫色の花を咲かせる、キク科オオアザミ属の植物です。
優れた抗ガン作用や肝機能改善効果から、ヨーロッパでは、それ自体が副作用のほとんどない薬にまでなっています。
この記事では、そんなミルクシスルの
- 効果
- 副作用
- おすすめの楽しみ方
について、ハーブを使った最強ファスティングを定期的に実践しているハーブマニアがまとめてみました。
さらにミルクシスルの育て方や、ハーブティーを美味しく飲むためのポイントについてもご紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください!
ミルクシスルの基本情報
名称 | ミルクシスル |
英名 | Milk thistle |
学名 | Silybum marianum |
和名 | マリアアザミ、オオアザミ |
分類 | キク科アオザミ属 |
原産地 | 地中海沿岸、北アフリカ、アジア |
主要成分 | シリマリン、リノール酸、オレイン酸など |
使用部位 | 種 |
代表的な作用 | 抗ガン作用、肝機能改善、抗ガン治療に対する肝臓の保護、血糖値正常化、抗酸化作用、LDLコレステロールを下げる |
利用方法 |
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ミルクシスルは、地中海沿岸や北アフリカ、アジアを原産地とする植物で、薄紫色の花を咲かせます。
葉には白いまだら模様があり、これがミルクが溢れたように見えることからミルクシスルと呼ばれるようになりました。
ミルクシスルには、私たちの体に良い影響を与える成分が含まれているとされ、多くの研究論文が存在し、ハーブ界でとても注目されています。
ミルクシスルの効果・効能・作用を解説
ミルクシスルの種には、シリマリンというフラボノイドの集合体、いわゆるポリフェノールが1~4%含まれています。
シリマリンは優秀なポリフェノールで、私たちの健康に良い影響をもたらしてくれます。
今回は、その作用の中でも主な4つをご紹介ます。
効果①:抗ガン作用
ミルクシスルに含まれるシリマリンには、抗ガン作用があると言われています。
研究結果によると、シリマリンは大腸ガン、肺ガン、前立腺ガン、子宮ガンなどに対して抗ガン作用があります。
効果②:肝機能改善効果
シリマリンはその抗酸化作用と解毒作用により、慢性肝炎、肝硬変、肝脂肪、虚血性肝臓障害などの症状改善や、タンパク質合成機能による肝細胞再生能力があると言われています。
さらに、シリマリンはお酒を飲むときの肝臓の負担を軽減してくれるため、お酒を飲む前に摂れば、二日酔いの予防にもなります。
効果③:血糖値正常化
シリマリンには血液をサラサラにし、血糖値を正常に戻す効果があると言われています。
現在、その効果を活かして、Ⅱ型糖尿病の治療薬として役立てるための研究が続けられています。
効果④:抗酸化作用
シリマリンには抗酸化作用があり、病気や老化の原因である活性酸素を除去してくれると言われています。
さらに体内の抗酸化物質であるグルタチオンの合成を阻害し、身体全体の老化防止に貢献してくれます。
効果⑤:その他
ミルクシスルには、シリマリン以外にも、不飽和脂肪酸の一種であるリノール酸やオレイン酸が含まれており、LDLコレステロールを下げたり、老化を防止する効果が期待できると言われています。
ミルクシスルの副作用や注意事項、禁忌など
ミルクシスルの摂取による重篤な副作用は報告されていませんし、副作用の危険性が少ないことが臨床試験により確認されています。
ただ、摂取することで、胃が荒れる、胃が重くなる等、胃腸に負担がかる可能性があるので、胃腸の弱い方は摂取を控えた方がいいでしょう。
また、キク科アレルギーのある人や妊娠中の人は、使用を避けた方が良いでしょう。
その他、胆汁の分泌が多くなり、便が柔らかくなる可能性があります。
ミルクシスルのハーブとしての使い方
ミルクシスルは、ハーブティーとして飲むかサプリメントとして摂取する方法が一般的です。
ハーブティー
そのままお湯を注ぐだけで飲むことができるミルクシスルのハーブティーも販売されていますが、ミルクシスルの種の状態からハーブティーとして味わうこともできます。
<種からハーブティーを作る方法>
- ミルクシスルの種をティースプーン2杯強(約5g)取り、砕いてすり潰す。
- 砕いた種はケトルか鍋に入れ、水をカップ1杯半入れ火にかける。
- 沸騰したら、弱火にして、静かに5分ほど煮だす。
- 煮出したら、茶こしを通してカップに注ぎ、完成。
種を砕く際はラップに包むか、ジッパー保存袋に入れると便利です。
種は固いので、ビンの底で押しつぶすか、めん棒でゴロゴロと潰してください。
サプリメント
ミルクシスルはサプリメントとしても販売されています。
安全なハーブと言われていますが、キク科アレルギーがある場合や、妊娠中の場合は、摂取する前にあらかじめ医師に相談することをおすすめします。
料理
ミルクシスルは、葉、茎、根全てを食べることができると言われており、様々な料理方法で楽しまれています。
ただ、葉にはトゲがあるため、調理する前にトゲを全て切り落とす処理が必要になります。
処理の際に手にトゲが刺さらないようご注意ください。
<おすすめの調理方法>
葉:天ぷら・サラダ
茎:アスパラガスと似ているため、アスパラガスの代用として炒め物、煮物に使用
根:ゴボウと似ていると言われており、ゴボウのように炒め物、煮物に使用
ミルクシスルのよくある質問
ミルクシスルについてよくある質問を調べてまとめてみました。
ミルクシスルは、室内栽培の場合は1年草として、屋外栽培の場合は2年草として栽培することができます。
種まきは、霜が降りなくなる季節に行い、屋内の場合は1.5cmの深さに3~4粒を蒔き、屋外の場合は91~110cm感覚で3~4粒を蒔きます。
発芽までは10~20日を要し、発芽したら最も元気なもの1株を除いて間引きをします。
肥沃な土壌、適度な水、日当たりの良い場所を好みますが、乾燥や日陰、土壌がさほど良好でなくても育ちます。
成長すると、たかさ90cm~120cm、花の直径は5cmほどになります。
種を取りたい場合は、秋に種が飛ぶ前に収穫して乾燥させます。
ミルクシスルは、古代ギリシア時代である2,000年以上前から、少し時代が下った古代ローマ時代の博物学者である、大プリニウスはが肝臓の薬として紹介するなど、ヨーロッパで親しまれてきました。
中世には、ドイツの修道女で自然療法家でもあったヒルデガルト・フォン・ビンゲンも治療薬として使用したと言われています。
日本には帰化植物として定着しました。
和名のマリアアザミは、葉の白いまだら模様をミルクに見立て、ミルクを聖母マリアに由来するものとして名付けられました。
ミルクシスルのハーブティーはほとんど香りや味がしないと言われています。
そのため、そのままシンプルに飲むよりも他のハーブティーとブレンドした方が美味しく飲むことができます。
ミルクシスルはクセがないので、ローズヒップやカモミール、ペパーミントなど、お好みの味や望む効果に合わせて、様々なハーブティーを合わせてみてください。
まとめと研究情報
ミルクシスルは、古くから私たちの体に良い影響を与えるハーブとして利用されており、ハーブティーや料理など様々な活用方法があります。
副作用の危険性が少なく比較的安全なハーブと言われていますが、キク科アレルギーの人や妊娠中の人は使用を避けた方が良いなど、注意点もあります。
健康にいいミルクシスルを安全に、かつ効果的に生活に取り入れるためにも、この記事をよく読んで、参考にしてくださいね。
おさらい
<効果・効能・作用>
- 抗ガン作用
- 肝機能改善効果
- 血糖値正常化
- 抗酸化作用
<副作用・禁忌・注意点>
- 妊婦・キク科アレルギーがある場合は、使用を避ける。
- 胃が弱い場合は、胃に負担がかかる可能性あり。
- 過剰摂取で便が柔らかくなる可能性あり。
<使用方法>
- ハーブティー
- サプリメント
- 料理
研究情報
下記の研究データ、エビデンスを参考にさせて頂きました。
ミルクシスルの糖尿病予防効果
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17072885
Ⅱ型糖尿病の51名に対して、ミルクシスルに含まれるシリマリンを1日あたり200mgを3回、4ヵ月間摂取させた結果、空腹時の血中グルコース、糖化ヘモグロビン、コレステロール、肝臓の酵素であるGOTとGPTの状態が改善しました。これにより、ミルクシスルに含まれるシリマリンは糖尿病予防効果と肝臓保護作用があることが示唆されました。
ミルクシスルの抗炎症作用
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15586237
皮膚がんを患っているラットにシリマリンの抽出物を給餌したところ、紫外線による皮膚の症状が緩和されました。これによりミルクシスルに含まれるシリマリンは抗炎症作用があることが示唆されました。
ミルクシスルの抗酸化作用
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/14659454
アロキサンによって誘発された糖尿病のラットに、シリマリンを投与し続けると、長期の治療で(約8回の投与)抗酸化酵素の低下を防ぎ、回復させました。このことから、ミルクシスルに含まれるシリマリンは、抗酸化作用があることが示唆されました。
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