ネトルという英名は、このトゲを針に見立てた”needle”に由来しています。
ヨーロッパでは2,000年以上も前から薬用ハーブとして利用されており、アンデルセンの童話「白鳥の王子」では、王子たちの呪いを解くネトルで編まれた帷子(かたびら)が登場し、魔除けのお守りとしても重宝されていました。
この記事では、そんなネトルについて、
- 効果
- 副作用
- おすすめの楽しみ方
について、ハーブを使った最強ファスティングを定期的に実践しているハーブマニアがまとめてみました。
さらにネトルの育て方や、ハーブティーを美味しく飲むためのポイントについてもご紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください!
ネトルの基本情報
名称 | ネトル |
英名 | Stinging nettle,Common nettle |
学名 | Urtica dioica |
和名 | セイヨウイラクサ |
分類 | イラクサ科イラクサ属セイヨウイラクサ |
原産地 | ヨーロッパ、アジア |
主要な成分 | ケルセチン、ケンフェロール、クロロフィル、カロテノイド、ビタミンB、C、K1、トリテルペン、ステロール、カルシウム、マグネシウム |
使用部位 | 全体 |
代表的な作用 | 抗アレルギー効果 利尿作用 老廃物の排泄 鉄分吸収促進(造血作用) シミ・そばかす防止(美肌効果) 血液浄化作用 |
利用方法 |
|
ネトルは、ヨーロッパやアジアで古くから民間薬として使用されており、根、茎、葉全てに私たちに良い影響をもたらす成分が含まれていると言われています。
体に良い成分をたくさん持ったネトルですが、成長すると30~50cmと背が高くなり、葉や茎に小さなトゲを無数につけており、トゲが刺さると焼けるような痛みが生じて、患部が赤く腫れ上がってしまうので、植物の状態では十分注意して取り扱う必要があります。
ネトルは全ての部分を使用することができますが、ハーブティーにすると、ふわっと緑茶のような草の香りがすると言われており、すっきりと飲みやすいです。
ネトルの効果・効能・作用を解説
ネトルには様々な効能がありますが、この記事では、主に、ネトルの最も有名な効果である、花粉症を抑えるなどの抗アレルギー効果、鉄分吸収促進(造血)作用、そしてシミ・そばかす防止(美肌効果)の3点について解説します。
効果①:抗アレルギー効果
ネトルに豊富に含まれる、ケルセチンやケンフェロールなどのフラボノイド類は、花粉症の原因である、ヒスタミンの分泌を減らす働きがあります。
さらに、ネトルは身体の中にある老廃物の排泄を促し、血液を浄化させます。
これにより花粉症、さらにはアトピー性皮膚炎やリウマチといったアレルギー性疾患、痛風や前立腺肥大といった代謝性疾患も予防してくれます。
効果②:鉄分吸収促進(造血)作用
ネトルにはそれ自体に多くの鉄分が含まれており、さらに鉄分の吸収を助けるビタミンCも存在します。
通常植物性の鉄分は吸収されにくいと言われていますが、ネトルに含まれるフラボノイド類には鉄分の吸収を助ける効果があるため、効果的に造血に必要な鉄分を吸収してくれます。
効果③:シミ・そばかす防止(美肌効果)
ネトルは、紫外線によって発生する活性酸素から自分を保護するため、抗酸化作用のあるカロテノイドを生産しています。
そのため、ネトルを摂取すると、カロテノイドが、細胞の老化を促進させる活性酸素を除去して、皮膚や粘膜を保護してくれます。
また、ネトルに含まれるクロロフィルにはアルカリ性と解毒性があり、ニキビの治療や、湿疹・発疹等のトラブルに効果があると言われています。
さらに、ネトルに含まれるトリテルペンには抗炎症作用・抗菌作用があり、アレルギーや炎症を和らげます。
ネトルを摂取することで、それぞれの作用が相乗効果をもたらし、美肌効果を促進させるのです。
ネトルの副作用や注意事項、禁忌など
ネトルはホルモンに作用すると言われているため、妊娠中の女性の摂取は避けた方がいいでしょう。
また、アスピリンと同様に、血液凝固能力を低下させる可能性があるため、心臓疾患、腎臓疾患、ホルモン系疾患を患っている人は、医師と相談の上、摂取するようにしてしてください。
さらに、ネトルには血糖値を下げる作用もあるため、糖尿病治療中の人は注意して摂取しましょう。
ネトルを一度に大量に摂取することは控え、日本茶とブレンドして生活に取り入れる場合でも、多くても一日2〜3杯にとどめることをおすすめします。
また、生のままのネトルを摂取することは控えましょう。
ネトルのハーブとしての使い方
ネトルは、ヨーロッパでは2000年以上前から民間薬として利用されてきましたが、現在はハーブティーやサプリメントとして利用されています。
ハーブティー
ネトルは、ハーブティーとして味わうのが一般的です。
<ハーブティーの淹れ方>
- ティーポットにドライネトルをティースプーン山盛り2杯(約1g)を入れ、熱湯150~160mlを注ぐ。
- その後、約3分(最大5分くらい)蒸らす。
- ハーブを濾してティーカップに注いだら完成。
ネトルは癖のない味で、そのままでも楽しめますが、他のハーブティーとブレンドして楽しむこともできます。
花粉症を患っているときは、ペパーミントやスペアミント1つまみを一緒に配合して抽出すると、ミントのスーッとした爽快感が加わり、鼻のの通りが良くなるのでおすすめです。
サプリメント
ネトルのサプリメントは、薬とは異なり、栄養補助食品のため、ネット通販などで購入することができます。
ただ、妊婦や授乳中の場合や、ネトルが禁忌となる人は、サプリメントの摂取について、あらかじめ医師に相談することをおすすめします。
ネトルのよくある質問
ネトルについてよくある質問を調べてまとめてみました。
ネトルの発芽に適した気温は15℃~25℃とされています。
日本では春に種から育てるのが一般的ですが、株を植え付ける方が楽に育てられると言われており、植え付け時期は3~4月がおすすめです。
高温多湿や直射日光が苦手な植物なので、夏場を避け、水のやりすぎで根腐りを起こさないよう、水やりは早朝や深夜など、涼しい時間帯に行ってください。
大き目の粒と小さめの粒を混ぜた土壌で栽培するか、鉢植えなら底に石を入れておくと、水がたまりにくく、じめじめするのを防ぐことができるのでおすすめです。
収穫には最も柔らかく、純粋で栄養豊富な房を選択するのが良いため、激しい雨の後の春または夏に行ってください。
収穫の際は、触るとかゆみが起こりやすいので、手袋とハサミを使用することをおすすめします。
収穫の際は地面から10cmの高さで切り、束にまとめ、暖かくて暗い場所で乾かして保存します。
デンマークでは、紀元前2000年以上前に、ネトルを使った埋葬用の布が発見されており、古代ローマでは、スープなどに入れて食べたり、医師が薬として利用したりしていたという記録が残っていることからも、古来から人間の生活に欠かせない植物であったことがわかります。
また、第一次世界大戦中のドイツ人の兵服は85%がイラクサ繊維で作られていたようです。
医薬品としては、19世紀ごろまでは主に関節痛の治療や利尿薬として利用されていましたが、科学的な研究が進んだ現在では、前立腺肥大症や尿路感染症、アレルギー症状などにも効果があることが明らかとなり、さまざまな炎症系疾患の改善に利用されています。
ネトルのハーブティーは、ネット通販やハーブティー専門店で購入することができます。
初めて購入する際に、副作用や飲み方に不安があるという場合は、初めからネット通販で購入せず、ハーブティー専門店でスタッフに相談することをおすすめします。
まとめと研究情報
ネトルはビタミンやミネラルなど、私たちの体に必要な要素をたくさん持っており、古くから人間の役に立ってきたハーブです。
私たちの体に良い影響をもたらしてくれますが、一方で妊娠中や心臓疾患のある人の摂取については危険性があるなど副作用もあります。
ネトルを安全に、かつ効果的に楽しむためにも、この記事をよく読んで参考にしてみてくださいね。
おさらい
<効果・効能・作用>
- 抗アレルギー効果
- 鉄分吸収促進(造血)作用
- シミ・そばかす防止(美肌効果)
<副作用・禁忌・注意点>
- 妊娠中は使用を避ける
- 血液凝固作用があるため、心臓疾患、腎臓疾患、ホルモン系疾患を患っている人は医師に相談
- 糖尿病治療中の人の使用は避ける
<使用方法>
- ハーブティー
- サプリメント
研究情報
下記の研究データ、エビデンスを参考にさせて頂きました。
ネトルの抗アレルギー効果
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/2192379
アレルギー性鼻炎のある69名の被験者に対し、ネトルを1週間与えた結果、アレルギー性鼻炎の症状が緩和したことがわかりました。これにより、ネトルには抗アレルギー効果、また鼻炎の予防効果があることが示唆されました。
ネトルの抗炎症作用
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/8967906
20名の健常人を対象に、ネトルが入った2つのカプセルを1日2回ずつ、21日間服用させ、血液を採取しました。ネトル摂取前に予め採取した血液とネトル摂取後に採取した血液に糖脂質を加えたところ、ネトル摂取後の血液中の炎症に関係があるTNFα、IL-1βが減少しました。このことからネトルは抗炎症作用を持つと示唆されます。
そのパワーを活かした、「自宅で出来る&お腹が減らない」最強のハーブファスティングもオススメなので、興味があれば参考にしてみてください。