ホーステールは、東アジアが原産のトクサ科トクサ属の多年草です。
ホーステール(horsetail)という名は、その名の通り、葉が馬の尻尾に似ていることから付けられました。
学名のEquisetumも、馬の毛に例えたことが由来となっており、ラテン語で馬を意味するequusとごわごわした毛を意味するsetaが組み合わさってできています。arvenseは、ラテン語で耕地を意味するarvaと、産地を意味する-ensisが組み合わさった言葉です。
ホーステールはとても生命力の強いハーブで、道端や土手など至るところに自生しています。そして、駆除するのが難しいことから雑草としては嫌われ者になりやすい植物です。
しかし、ホーステールは、ミネラルが豊富に含まれており、栄養価も高いことから「ミネラルの宝庫」と言われ、注目されているハーブの一つなのです。
今回の記事では、
- ホーステールの効果
- ホーステールの副作用や摂取する際の注意点
- ホーステールのおすすめの摂取方法
の3点を中心に、ホーステールについての基本情報からお楽しみまでを分かりやすく解説しています。
また、ホーステールの美味しいハーブティーの淹れ方やレシピなどのお役立ち情報も紹介しています。ぜひ、参考にしてくださいね。
ハーブについてさらに詳しく知りたい方は、ハーブを使った最強ファンスティングを定期的に実践しているハーブマニアが書いているこちらの記事を、参考にしてみてください。
ホーステールの基本情報
名称 | ホーステール |
英名 | Horsetail |
学名 | Equisetum arvense |
和名 | 杉菜(スギナ) |
分類 | トクサ科トクサ属 |
原産地 | 東アジア |
成分 | シリカ、カルシウム、フラボノイド、サポニン、タンニンなど |
使用部位 | 地上部 |
代表的な作用 | 抗酸化作用、抗炎症作用、抗アレルギー作用、免疫力向上、鎮静作用、殺菌作用、血流促進、収れん作用、利尿作用など |
禁忌、注意事項 | 心臓、腎臓に基礎疾患のある方は摂取を避ける 妊娠中、授乳中の方は摂取を避ける 子供は摂取を避ける スギナやツクシにアレルギーのある方は摂取を控える 長期間、大量に摂取しない |
利用法 | ハーブティー、葉と茎を調理して食べる、サプリメント |
ホーステールは、北半球を中心に広範囲に分布しており、日本でも全国で自生しています。ホーステールは茎の節々から輪状に多くの枝を伸ばします。春先に見られる「つくし」は、ホーステールの胞子茎です。
ホーステールはミネラルが多く含まれていることから、「ミネラルの宝庫」とも呼ばれ、カルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、鉄、亜鉛なども含む、栄養価の高いハーブです。
また、ホーステールには、他のハーブにはないシリカ(二酸化ケイ素)を豊富に含んでいます。ホーステールの豊富なミネラルは、身体の様々なところで効果を発揮しますが、近年では、美容効果への期待が高まっています。
ホーステールの効果・効能・作用を解説
ホーステールには主に、美しさを保つ効果、骨粗しょう症を予防する効果、泌尿器系の病気を予防する効果があります。
- 美しさを保つ効果
- 骨粗しょう症を予防する効果
- 泌尿器系の病気を予防する効果
これらについて順に説明していきます。
効果①:美しさを保つ効果
まず、ホーステールの美しさを保つ効果についてです。
ホーステールは、シリカ(二酸化ケイ素)を豊富に含んでいます。シリカは、毛髪・爪・歯・骨・関節・血管・細胞壁などあらゆる細胞に含まれている成分で、年齢を重ねるごとに不足し、老化につながると考えられています。
そのため、ホーステールを摂取することで、シリカを補い、皮膚や髪などの老化を予防することが可能です。
また、フラボノイドなどの抗酸化作用のある成分も含んでいるので、アンチエイジングにも効果が期待できます。
効果②:骨粗しょう症を予防する効果
次に、ホーステールの骨粗しょう症を予防する効果についてです。
ホーステールに含まれるシリカは、骨を形成する細胞に欠かせない成分です。シリカを摂取することで、骨密度を高める効果が期待できます。
また、ホーステールは、強い骨を作るためには欠かせないカルシウムも、豊富に含んでいます。
シリカは、このカルシウムの吸収を助ける働きもあると言われているので、シリカとカルシウムの両方が摂取できるホーステールは、骨粗しょう症を予防するのにとても効果的なハーブだといえます。
効果③:泌尿器系の病気を予防する効果
最後に、ホーステールの泌尿器系の病気を予防する効果についてです。
ホーステールには、利尿作用があり、フラボノイドやタンニンなどの抗菌・消毒作用を持つ成分が含まれています。そのため、膀胱炎や尿道炎などの泌尿器系の感染症や前立腺肥大症の予防・治療に効果があるといわれています。
ヨーロッパでは、民間療法の一つとして、泌尿器系のトラブルにはホーステールが用いられていました。
その他の効果・作用
ホーステールにはさらに、むくみの改善、静脈瘤の予防、生活習慣病の予防といった効果もあります。
ホーステールに含まれているシリカには、血液循環をスムーズにしたりコラーゲン組織を強化して血管を丈夫に保つ働きがあります。また、利尿作用もあるので、ホーステールティーはむくみの改善や静脈瘤の予防に効果があります。
さらに、抗酸化作用のあるフラボノイドは、血中脂質の酸化を抑えたり、血糖値の上昇を抑えたりする働きがあるので、生活習慣病の予防につながります。
ホーステールの副作用や注意事項、禁忌など
心臓、腎臓に基礎疾患のある方は、ホーステールを摂取することで症状を悪化させてしまう恐れがあるので、摂取は禁忌です。
ホーステールには、少量のニコチンが含まれています。そのため、大量に飲むと胃腸を痛め下痢になる場合があるので注意が必要です。また、妊娠中、授乳中の方、お子さんは摂取を避けましょう。
スギナやツクシにアレルギーのある方は、アレルギー症状が出る可能性がありますので、注意が必要です。
さらに、ホーステールは、長期間、大量に摂取するとチアミン(ビタミンB1)欠乏症になる恐れがあります。摂取量には注意が必要です。
ホーステールのハーブとしての使い方
1 ハーブティー
ホーステールのハーブティーは、スギナ茶ともよばれ、日本でも昔から親しまれています。ほんのりとした草の香りにクセがなく、さっぱりしていて飲みやすいハーブティーです。
人によっては苦いと感じる場合もあるので、苦手な方はブレンドして飲むことをおすすめします。
今回は、ホーステールの茶葉の作り方と、美味しい淹れ方を紹介します。
<ホーステールの茶葉の作り方>
1 ホーステールを収穫し、水洗いして、日干しで乾燥させる
2 カラカラに乾燥したら適当な大きさにカットして清潔な瓶などに保存する
※ホーステールを採集するときは、農薬や除草剤がかかっていないものを選びましょう。
<ホーステールのハーブティーの作り方>
1 やかんや鍋などにホーステールティーの茶葉大さじ1と水1リットルを入れて火にかける
2 沸騰したらとろ火にして、5分から7分煮詰めたらできあがり
※煮出し過ぎると、シリカが熱でこわれてしまうので、注意しましょう。
ドライハーブは保存ができるので、収穫した時に多めに乾燥させておくと、手軽にハーブティーが楽しめますよ。
2 食べる
ホーステールは、青臭さや苦みがほとんどなく、食べやすいハーブです。調理も簡単で、様々な食べ方があります。
大きく成長したホーステールは固くて食べられないので、若い葉を選んで採ります。見分け方としては、葉がタケノコのような形をしていて、色も明るい若緑色のものが、若い葉になります。
ホーステールを美味しくいただくレシピを3つ紹介します。
- ホーステール入りおにぎり
- ホーステールの天ぷら
- ホーステールのふりかけ
<ホーステール入りおにぎり>
ネギを混ぜて作ったおにぎりに似た食感になります。おにぎりにせず、まぜご飯としていただいても美味しいです。
1 収穫したホーステールを、塩を少々入れた熱湯で茹でる
2 軽く茹でたら、熱湯から出し、冷水にさらす
3 なるべく細かく刻んで水気を切り、塩を加えてよくもむ
4 汁気をしっかり絞ったら、ボウルに入れてご飯を混ぜ合わせる
5 おにぎりを握ってできあがり
<ホーステールの天ぷら>
風味や味は特にありませんが、サクサクとした食感がたまらない天ぷらになります。天ぷらにすることで、繊維があるホーステールも食べやすくなります。塩や天つゆにつけて食べても美味しいですよ。
1 お好みの天ぷらの衣のたねを作る
2 160度に熱した油に、衣をつけたホーステールを入れる
3 サクッと揚げたらできあがり
<ホーステールのふりかけ>
細かく粉末状にすることで、カサカサした食感が残らず、食べやすくなります。粉末状にすると、香りが抹茶の香りに似ていて、ふんわりと甘い風味がします。
1 ホーステールをパリパリになるまで乾燥させる
2 ミルサーで粉末状にする
3 粉末状にしたホーステールと同量の黒ゴマを混ぜる
4 炒り塩で味付けしてできあがり
乾燥させて細かく粉末状にしたホーステールは、パンやクッキーに混ぜて焼いて食べることもできます。抹茶に似た香りで、きれいな緑色のパンやクッキーになります。
3 サプリメント
ホーステールの成分を生かし、美容に特化したサプリメントが市販されています。
つやのある髪と丈夫な爪、ハリのあるお肌作りに役立つサプリメントです。また、利尿作用があるので、デトックス効果も期待できます。
1粒あたりの含有量や推奨する摂取量は、メーカーにより異なりますが、1日あたり3粒が目安です。過剰摂取は副作用を起こす可能性があるので、用法用量を守って摂取しましょう。
ホーステールのよくある質問
心臓、腎臓に基礎疾患のある方は症状を悪化させてしまう恐れがあるので、摂取は禁忌です。また、ニコチンが含まれているので、妊娠中、授乳中の方、お子さんは摂取を避けましょう。さらに、長期間、大量に摂取するとチアミン(ビタミンB1)欠乏症になる恐れがあるので、注意が必要です。
はい、効果が期待できます。ホーステールにはミネラルが多く含まれています。中でもシリカは、活性酸素の除去、血流改善、保湿といった作用があり、白髪が生えにくい環境を作ってくれます。
葉がタケノコのような形をしていて、色も明るい若緑色のものが若い葉で、美味しく食べることができます。成長したホーステールは固くて食べられません。また、除草剤や農薬がかかっていないものを選びましょう。
まとめと研究情報
今回は、ホーステールについて解説しました。
ホーステールは、厄介な雑草として扱われてしまいがちですが、実はミネラルをたくさん含んだ栄養価の高いハーブであることが分かりました。他のハーブにはないシリカを豊富に含んでいることが、最大の特徴でした。
ホーステールは、ミネラルをたくさん含んでいるので、美しさを保つ効果、骨粗しょう症を予防する効果、泌尿器系の病気を予防する効果など嬉しい効能を持っていることが分かりました。
摂取方法としては、ハーブティー、葉や茎を調理して食べる方法、サプリメントについて紹介しました。
ホーステールに興味がある方は、ぜひこの記事を参考にしてみてくださいね。
おさらい
【効果】
- 美しさを保つ効果
- 骨粗しょう症を予防する効果
- 泌尿器系の病気を予防する効果
- むくみを改善する効果
- 静脈瘤を予防する効果
- 生活習慣病を予防する効果
【注意点・副作用・禁忌】
- 心臓、腎臓に基礎疾患のある方は摂取を避ける
- 妊娠中、授乳中の方は摂取を避ける
- 子供は摂取を避ける
- スギナやツクシにアレルギーのある方は摂取を控える
- 長期間、大量に摂取しない
【摂り方】
- ハーブティー
- 葉や茎を調理して食べる
- サプリメント
研究情報(エビデンス)
下記の研究データ、エビデンスを参考にさせて頂きました。
Equisetum arvenseL水性抽出物:ヒト結腸癌の治療のための新しい化学療法サプリメント
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37732051/
Equisetum arvense L(ホーステールプラント)は、抗酸化特性が高く、癌細胞に対する細胞毒性が低いことが示されました。この研究では、植物抽出物がフリーラジカルを効果的に除去し、豊富なフェノール化合物を含むことが明らかになりました。さらに、ヒト結腸直腸癌に対する抗癌性が、特にHT29細胞株において観察されました。これはEquisetum arvense Lが潜在的ながん治療薬としての可能性を持つことを示唆しています。
Equisetum arvense(一般的なつくし)は炎症性免疫担当細胞の機能を調節します
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25088216/
ヨーロッパの伝統的な薬用植物であるEquisetum arvense(つくし)の標準化抽出物が、ヒト初代リンパ球の免疫調節能力をin vitroで調査されました。研究では、Equisetum抽出物がT細胞の増殖を抑制し、リンパ球活性化、サイトカイン産生、エフェクター機能を妨害することが示されました。これは、Equisetum arvenseの抗炎症作用機序を明らかにし、炎症性疾患の治療に対するその潜在的な価値を示唆しています。
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