ペパーミントは、ヨーロッパが原産のシソ科ハッカ属の多年草です。日本ではセイヨウハッカとも呼ばれます。アロマテラピーやガムなどの菓子類、歯磨き粉などに使用されており、身近なハーブの一つです。
学名の「piperita」は、ギリシャ語でコショウを意味する「peperi」が由来になっています。「Mentha」は、ギリシャ神話で伝えられている精霊の「メンテ」が由来だと言われています。
冥府の王ハーデスが精霊メンテに心惹かれていることを知ったハーデスの妻である女王が、嫉妬に狂って精霊メンテを植物に変えてしまいます。可哀想に思ったハーデスが、香りの良い薬草へと変身させ、それが「ミント」と呼ばれるようになったそうです。
今回の記事では、
- ペパーミントの効果
- ペパーミントの副作用や摂取する際の注意点
- ペパーミントのおすすめの摂取方法
の3点を中心に、ペパーミントについての基本情報からお楽しみまでを分かりやすく解説しています。
また、ペパーミントの美味しいハーブティーの淹れ方や、手軽にできる料理への取り入れ方などのお役立ち情報も紹介しています。ぜひ、参考にしてくださいね。
ハーブについてさらに詳しく知りたい方は、ハーブを使った最強ファンスティングを定期的に実践しているハーブマニアが書いているこちらの記事を、参考にしてみてください。
ペパーミントの基本情報
名称 | ペパーミント |
英名 | Peppermint |
学名 | Mentha piperita |
和名 | 西洋薄荷(セイヨウハッカ) |
分類 | シソ科ハッカ属 |
原産地 | ヨーロッパ |
成分 | メントール、フラボノイド、アズレン、タンニン、ロスマリン酸、ミントポリフェノールなど |
使用部位 | 葉 |
代表的な作用 | 鎮静作用、鎮痙作用、抗菌作用、発汗作用、利尿作用、胃腸の機能調整作用など |
禁忌、注意事項 | 胃酸が逆流しやすい人は、摂取量に気を付ける。 妊娠中は摂取を控える。 薬を服用している場合は、注意が必要。 |
利用法 | ハーブティー、料理に使う、アロマ |
ミントは、何千年も前から古代ギリシャで生薬として使用されており、歴史上最も古い栽培植物だという説のあるハーブです。1700年代後半にイギリスで大人気となり、大量に栽培されるようになりました。
ペパーミントは現在、欧米諸国などを中心に、世界中で栽培されています。ペパーミントは湿地を好むので、イギリスの気候が栽培の条件に最適なことから、イギリス産のペパーミントが最も高品質であるといわれています。
ペパーミントは、高さ50~80㎝程度に生長し、7~8月になると、密集した葉の上のほうに小さなすみれ色または白色の穂状花を咲かせます。
ペパーミントの効果・効能・作用を解説
ペパーミントには主に、リラックス効果、胃腸の調子を整える効果、口臭を予防する効果があります。
- リラックス効果
- 胃腸の調子を整える効果
- 口臭を予防する効果
これらについて順に説明していきます。
効果①:リラックス効果
まず、ペパーミントのリラックス効果についてです。
ペパーミントには、メントールが含まれています。メントールは、ミントの香りの素で、ドーパミンという神経伝達物質の分泌を高めてくれます。ドーパミンの分泌が高まると不安な気持ちやイライラが落ち着きます。そのため、リラックス効果が感じられるのです。
また、メントールの刺激的な香りは、脳を活性化し、集中力を向上させてくれる効果もあります。
効果②:胃腸の調子を整える効果
次に、ペパーミントの胃腸の調子を整える効果についてです。
ペパーミントに含まれているメントールは、リラックス効果により、胃の筋肉の緊張も和らげてくれます。そのため、胃の動きがよくなります。また、アズレンという成分が、脂肪やたんぱく質の分解を助けてくれます。消化器官の炎症を抑える働きもあるため、胃の調子が整うのです。
さらに、胆汁の分泌促進作用を強化し、消化器の働きを促進させる作用があります。食べ過ぎた後の胃もたれや胸焼けの解消にも効果的です。
メントールの効果は、胃だけでなく、腸の動きもよくしてくれます。腸の中にガスが溜まり膨張するのを抑える作用があるので、便秘改善の効果が期待できます。
効果③:口臭を予防する効果
最後に、ペパーミントの口臭を予防する効果についてです。
口臭は、口の中の菌が原因のものと、胃腸からくるものがあります。ペパーミントはどちらも防ぐことが可能です。
ペパーミントには、殺菌作用があるので、口の中の菌が増殖するのを抑えてくれます。また、胃腸を整える働きもあるので、胃や腸からくる口臭も抑えてくれます。
その他の効果・作用
ペパーミントにはさらに、
- 肌の調子を整える
- 冷え性を改善する
- 花粉症を予防・改善する
といった効果もあります。
ペパーミントに含まれるメントールは、肌の水分と油分のバランスを調節する働きを持っています。そのため、水分の蒸発や過剰な油分の分泌を抑制し、肌の調子を整えてくれます。
また、メントールには身体を温める作用もあるので、冷え性の改善におすすめです。
さらに、ペパーミントには、ミントポリフェノールというポリフェノールの一種が含まれています。ミントポリフェノールは、鼻の粘膜の腫れを抑制する作用など、アレルギー症状を緩和する働きを持っているため、花粉症を予防・改善する効果が期待できます。
ペパーミントの副作用や注意事項、禁忌など
食道の筋肉をリラックスさせる効能があるので、摂りすぎると、胃食道逆流症になりやすくなってしまいます。元から胃酸が逆流しやすい方は特に、飲みすぎに気を付けましょう。
また、妊娠中に摂取しすぎると、子宮が刺激されてしまい、流産のリスクが高まる可能性があります。心配な方は摂取を控えましょう。
薬を服用する場合は、ハーブの成分の影響で、服用している薬の効果を下げてしまう可能性があるので、医師に相談の上、摂取しましょう。
ペパーミントのハーブとしての使い方
1 ハーブティー
ペパーミントのハーブティーは、強めの清涼感が特徴です。少し青臭さがあるので、苦手な人は、レモンやはちみつ、砂糖を入れると飲みやすくなります。
また、生の葉でも乾燥させた葉でも作ることができますが、青臭さが気になる人は乾燥させた葉で作ることをおすすめします。水出しにすると、清涼感がアップし、暑い夏の一杯にちょうどいいですよ。
<ペパーミントハーブティーの作り方>
お湯出し
1 ペパーミントの葉を5枝分用意する。(生の葉ならちぎっておくと香りがよく出ます)
2 ティーポットに葉を入れてお湯を注ぐ。
3 蓋をして5分蒸らしてできあがり。
水出し
1 コップ1杯の水に対し1~2枚のペパーミントの葉を用意する。
2 葉をちぎって水に入れて、できあがり。
2 食べる
<生の葉を料理に添えて>
ペパーミントの生の葉は、悪臭成分や苦み成分も含まれており嗜好性が高いので、食べる場合は少量にします。アイスやケーキ、肉料理等に添えて使うのがおすすめです。
<乾燥させた葉を調理して>
乾燥させた葉は、使い勝手がよく、様々な料理に利用できます。
乾燥させた葉をちぎって、漬けダレに混ぜておいたり、パン粉に混ぜて使うことで子羊などのお肉や魚の臭み取りにも使えます。葉をペースト状にしたソースは、肉のソテーにかけたり、パスタのソースにして使ったりすると、アクセントがプラスされて美味しいですよ。
簡単にちぎって料理に散らすだけでも、彩りよく、香りよく仕上がります。
ペパーミントの乾燥方法
1 ペパーミントを茎ごとハサミで切って、土や汚れをきれいに水で流す。
2 トレーやお皿など平らなものに重ならないように並べる。
3 晴れた日に、日陰で風通しのいいところに置いておく。(数日様子を見る)
4 カラカラに乾いたら葉をとり保存する。
3 アロマ
ペパーミントのアロマは、刺激のある香りが特徴で、頭をすっきりさせてリフレッシュしたいときや、集中力をアップさせたいときにおすすめです。
入浴のお供にすれば、リラックス効果もあり、その日一日の疲れが癒されます。頭痛や偏頭痛、筋肉痛、生理痛などの痛みを緩和する効果も期待できます。
また、日焼け後の肌や皮膚の炎症にも効果的です。肌の引き締め作用があるので、肌の調子もよくなりますよ。しかし、刺激が強いため、使う量に気を付けましょう。
ペパーミントのよくある質問
ペパーミントは繁殖力が強いので、他の植物とは別にして、鉢植えで育てるのがおすすめです。屋外でも室内でも育てることができます。風通しと日当たりのよい場所で育てましょう。真夏の直射日光は避けるようにします。土が乾いたらたっぷり水をあげます。肥料はあげなくても、ぐんぐん育ちます。
過剰摂取は、胃の調子を悪くします。元から胃酸が逆流しやすい人は、胃食道逆流症になりやすいので注意が必要です。また、妊娠中は、子宮が刺激されてしまい、流産のリスクが高まる可能性があるので、摂取を控えましょう。
なります。ペパーミントに含まれるメントールとメントンが虫よけに効果的です。ハーブチンキにすると、手軽に使えます。ハーブチンキは、薬局に売っている99.9%のエタノール(無水エタノール)にペパーミントの葉を浸けることで作れます。
香りと味に違いがあります。ペパーミントの方が清涼感が強く、苦みと辛みがあります。スペアミントはやや甘く、爽やかな香りです。葉の形も違います。ペパーミントの葉は丸みを帯びています。スペアミントの葉は細長く、裏側に紫色の斑点があります。
まとめと研究情報
今回は、ペパーミントについて解説しました。
ペパーミントは、古くから人々に親しまれてきた身近なハーブの一つで、清涼感のある爽やかな香りが特徴です。主に、リラックス効果、胃腸の調子を整える効果、口臭を予防する効果があることが分かりました。
摂取方法としては、ハーブティー、葉を料理に使う方法、アロマについて紹介しました。
ペパーミントに興味がある方は、ぜひこの記事を参考にしてみてくださいね。
おさらい
【効果】
- リラックス効果
- 胃腸の調子を整える効果
- 口臭を予防する効果
- 肌の調子を整える
- 冷え性を改善する
- 花粉症を予防・改善する
【注意点・副作用・禁忌】
- 胃酸が逆流しやすい人は、摂取量に気を付ける
- 妊娠中は摂取を控える
- 薬を服用している場合は、注意が必要
【摂り方】
- ハーブティー
- 葉を料理に使う
- アロマ
研究情報(エビデンス)
下記の研究データ、エビデンスを参考にさせて頂きました。
過敏性腸症候群に対するペパーミントオイルの影響:プールされた臨床データのメタアナリシス
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30654773/
この研究は、過敏性腸症候群(IBS)治療におけるペパーミントオイル(PO)の効果を評価するための包括的なメタアナリシスです。835人の患者を対象にした253のランダム化試験を分析しました。POは、IBSの痛みと全般的な症状の改善に対して有効で、副作用に差はないことが示されました。POはIBSの成人患者に対する安全で効果的な治療法として考えられます。
APP/PS1トランスジェニックマウスの学習および記憶能力に及ぼすペパーミント精油の効果
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35408451/
この研究では、APP/PS1トランスジェニックマウスに対するペパーミントエッセンシャルオイルの効果とそのメカニズムを調査しました。モリス水迷路テストとシャトルボックステストにより、ペパーミントエッセンシャルオイルはマウスの学習と記憶を改善することが示されました。海馬CA1領域の神経細胞の状態が正常に戻り、Aβの沈着が減少しました。また、酸化ストレスも低減しました。メタボノミクス分析から、ペパーミントオイルがアルギニン、プロリン、イノシトールリン酸、システイン、メチオニンの代謝を調節し、認知機能を向上させる可能性が示唆されました。
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