チェストツリーは、シソ科の植物で、別名セイヨウニンジンボクとも呼ばれているハーブです。
そして、高さ2~6mほどまで生長する丈夫な落葉低木で、夏頃に薄紫色の花をつけます。原産地は南ヨーロッパから中央アジアです。チェストツリーの果実が「チェストベリー」として知られており、ハーブとして用いられるほか、見た目が似ていることからコショウの代わりとしても使用されていました。
ヨーロッパでは紀元前から薬用に用いられており、古くからチェストツリーの実であるチェストベリーは生理痛などの婦人病に用いられていたという、女性のためのハーブとして活躍してきた長い歴史があります。
今回の記事では、
- チェストツリーの効能を知りたい
- 副作用や注意点はある?
- チェストツリーのオススメの摂取方法が知りたい
など、チェストツリーについての基本情報からお楽しみまで、わかりやすく解説していきます。
ハーブについてもっと詳しく知りたい方は、ハーブを使った最強ファスティングを定期的に実践しているハーブマニアが書いているこちらの記事を参考にしてみてください。
また、チェストツリーのオススメのブレンドティーの淹れ方や、ゴートミルクバスなどのお役立ち情報も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
チェストツリーの基本情報
名称 | チェストツリー |
英名 | Chaste Berry |
学名 | Vitex agnus-castus |
和名 | セイヨウニンジンボク |
分類 | シソ科ハマゴウ属 |
原産地 | 南ヨーロッパから中央アジア |
成分 | 精油、脂肪酸、イリドイド配糖体、フラボノイド、アルカロイド |
使用部位 | 果実 |
代表的効能 | ・月経前症候群(PMS)の症状を緩和する・更年期障害の症状を改善する |
禁忌、注意事項 | ・妊娠中・授乳中の方の摂取は安全ではない可能性があります。 ・乳がん、子宮がん、卵巣がんなどホルモン感受性が高まる症状、疾患の方は摂取を控えましょう。 |
利用法 | ・ハーブティーとして飲む ・カプセル剤やチンキ剤として |
近年、チェストツリーはドイツなどで科学的な研究が進められ、ホルモンと似た作用を持つことが明らかになりました。それにより、ドイツでは月経前症候群の治療薬として認可されています。
19世紀には、アメリカの医師が通経薬(月経を促進させるための薬)や、催乳薬(母乳の分泌を促すための薬)にチェストツリーを用いたとされます。日本に入ってきたのは、明治時代の中頃で、セイヨウニンジンボクという和名で知られるようになったそうです。
また、チェストツリーは西アジアでもひろく自生している植物です。栽培がしやすく、日向や日陰、どちらでも良く育ちます。
夏の暑さにも強く、耐寒性もあるので、地植え、鉢植えでの冬越しも可能です。ヨーロッパでは街路樹になどに利用されているそうですよ。
チェストツリーの効果・効能・作用を解説
チェストツリーには、月経前症候群の改善、更年期障害の改善、生理不順の改善などの、効果があるといわれています。
- 月経前症候群の改善
- 更年期障害の改善
- 生理不順
こちらでは、チェストツリーの代表的な効能について説明していきましょう。
効果①:月経前症候群(PMS)の改善
チェストツリーは、月経前症候群の改善に役立つといわれています。PMSは、女性ホルモンの乱れによって引き起こされます。主な症状として、体がむくむ・にきびや口内炎ができるといった身体的な症状の他、イライラするといった精神的な症状もみられます。
チェストツリーは、女性ホルモンの一つ「黄体ホルモン(プロゲステロン)」の分泌を促進させることがわかっています。するともう一つの女性ホルモン「卵胞ホルモン(エストロゲン)」とのバランスが整えられるため、不調を緩和させる効果が期待できるようになります。
また、PMSの改善に有効とされるビタミンB6よりもチェストベリーのほうがPMSの症状を改善する効果がすぐれているという研究結果が報告されています。
効果②:更年期障害の改善
ホルモンバランスを整えてくれるチェストツリーは、更年期障害の様々な症状の緩和にも役立つといわれています。
ある研究では、更年期障害に悩まされている女性23人にチェストツリーを配合したバイテックス油を投与すると、気分の落ち込みや睡眠障害などの症状に改善がみられ、中には月経が再び始まった女性もいたと報告されています。
効果③:生理不順の改善
生理不順に悩む女性が、チェストツリーを配合したサプリであるバイテックスを飲んだ場合、偽薬を飲んだ女性よりも月経周期がより改善したという3つの報告があります。
その他の効果・作用
- 虫刺され予防
- 頭痛の予防
- 抗菌と抗真菌効果
チェストツリーの副作用や注意事項、禁忌など
- 妊娠中・授乳中の方の摂取は安全ではない可能性があります。
- 乳がん、子宮がん、卵巣がんなどホルモン感受性が高まる症状、疾患の方は摂取を控えましょう。
チェストツリーのハーブとしての使い方
チェストツリーはハーブティーとして飲んだり、ゴートミルクバスとして楽しんだりできます。
1.ハーブティー
チェストツリーは苦味や渋みが強く、甘み・うまみが少ないので飲みづらいと感じるかもしれません。こちらではそんな方の為に、ブレンドティーレシピをご紹介します。
チェストツリー・・・小さじ1/2
サフラワー・・・小さじ1/2
また、血行を促進して身体を隅々まで温めてくれるので、冷え性の緩和にも役立ってくれます。
チェストツリー・・・小さじ1/2
パッションフラワー・・・小さじ1
味は、甘み・うまみがあるので、チェストツリーの苦味を和らげて飲みやすくしてくれます。
チェストベリーのゴートミルクバス
ゴートミルクパウダー20g
チェストベリー(粉末)5g
重曹5g(お好みで天然塩をいれても)
【作り方】
容器に上記をはかりに入れ、よくかき混ぜてできあがりです。ゴートミルクはぬるま湯にも溶けやすいヤギのミルクです。肌を柔らかくし、鎮静と保湿によく、栄養価が高く牛乳よりもビタミンやミネラル、ガゼインなどが豊富に含まれています。
ガゼインは、肌の中に吸収し乾燥した皮膚に水分をもたらし、古い角質を穏やかに取り除いてくれるそうですよ。
チェストツリーのよくある質問
あります。爽やかな草の香りにほんのり胡椒のようなスパイシーな香りが加わったような香りです。
英語ではチェストツリーと呼ばれたり、モンクスペッパーとも言い、和名はセイヨウニンジンボクが一般的ですが、イタリアンニンジンボクとも呼ばれます。表記がいろいろあり、ややこしいのですがすべて同じです
まず、辛みのあるレモンの香りがします。そして、少し苦味があるので、単独での飲用は難しいお茶になります。飲みにくい場合は、はちみつなどで甘さをプラスするか、ブレンドティーにするのがおすすめです。
まとめと研究情報
今回はチェストツリーについて解説しました。
チェストツリーには、月経前症候群の改善や更年期障害の改善、生理不順の改善など、女性にとって悩ましい症状の改善の効果が期待できることがわかりました。そして、飲みやすいハーブブレンドティーの組み合わせや、ゴートミルクバスの手作りレシピなども紹介しました。
チェストツリーについて興味のある方は、ぜひこの記事を参考にしてみてくださいね。
おさらい
【効果】
- 月経前症候群の改善
- 更年期障害の改善
- 生理不順
【注意点・副作用・禁忌】
- 妊娠中・授乳中の方の摂取は安全ではない可能性があります。
- 乳がん、子宮がん、卵巣がんなどホルモン感受性が高まる症状、疾患の方は摂取を控えましょう。
【摂り方】
- ハーブティー
- ゴートミルクバス
研究情報(エビデンス)
下記の研究データ、エビデンスを参考にさせて頂きました。
閉経周辺期後期女性のPMS様症状に対するオトギリソウとバイテックス・アグヌス・カスタスの組み合わせの効果:亜集団解析からの知見
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19757982/
この研究では、閉経周辺期の女性のPMS様症状に対するオトギリソウとVitex agnus-castusの組み合わせる植物療法の効果を評価しました。16週間の試験で、ハーブ療法はプラセボよりもPMSスコア、うつ病、渇望において有意に優れていることが示されました。これは植物療法が閉経周辺期の女性のPMS様症状に対して有望であることを示唆しております。
更年期症状の軽減におけるVitex agnus-castus抽出物とプラセボの比較:無作為化二重盲検試験
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31067851/
この研究は、Vitex agnus-castus抽出物が更年期症状の緩和に有効かどうかを評価しました。Vitexグループとプラセボグループの女性を対象にしたランダム化比較試験で、Vitex群は閉経期障害、不安、血管運動機能障害においてプラセボ群よりも有意に症状が改善されました。しかし、体性合併症、うつ病、性機能障害については差が見られませんでした。結論として、Vitex agnus-castus抽出物は更年期症状の一部を緩和できる可能性があることが示唆されました。
そのパワーを活かした、「自宅で出来る&お腹が減らない」最強のハーブファスティングもオススメなので、興味があれば参考にしてみてください。