ヨモギはキク科ヨモギ属の多年草で、中央アジアの乾燥地帯を原産地とするハーブです。ヨモギは生命力が強く、日本でも本州から九州、沖縄までの広い地域に自生しています。
学名にあるArtemisia(ヨモギ属)は、ギリシャ神話の女神Artemis(アルテミス)の名に由来しています。古代ギリシャにおいてヨモギは婦人科系の治療薬として利用されており、女神アルテミスも使われていたとされています。
今回の記事では、
- ヨモギの効果を知りたい
- ハーブとしてヨモギを摂取する際の注意点は?
- ヨモギのおすすめの摂取方法を知りたい
など、ヨモギについての基本情報からお楽しみまでをわかりやすく解説しています。
また、ヨモギのハーブティーの淹れ方や、簡単に作れる草もちのレシピなどのお役立ち情報も紹介してますので、ぜひ参考にしてくださいね。
ハーブについてもっと詳しく知りたい方は、ハーブを使った最強ファスティングを定期的に実践しているハーブマニアが書いているこちらの記事を参考にしてみてください。
ヨモギの基本情報
名称 | ヨモギ |
英名 | Mugwort、Japanese mugwort |
学名 | Artemisia princeps |
和名 | ヨモギ(蓬)、餅草(モチグサ) など |
分類 | キク科ヨモギ属 |
原産地 | 中央アジア |
成分 | シネオール、ピネン、クロロフィル(葉緑素)、ツヨン、ビタミン類、タンニン、食物繊維 など |
使用部位 | 葉 |
代表的な作用 | 鎮静作用、精神強壮作用、血行促進作用、抗酸化作用、健胃作用、整腸作用、消臭作用、抗菌作用、美肌作用、 など |
禁忌、注意事項 |
|
利用法 | よもぎ茶(ハーブティー)、よもぎ風呂、食材として など |
ヨモギ属には多くの種類があり、世界中に約250種類の品種がある植物です。日本にも本州から九州、沖縄、さらには離島の小笠原諸島にまで自生しており、国内に生育するヨモギは30品種以上あるといわれています。
ヨモギは日本でも歴史が古く、春を告げる食材として、そして薬草としての効能から「究極の和製ハーブ」や「ハーブの女王」などとも呼ばれています。ヨモギは古典文学にも記されており、奈良時代の日本最古の歌集『万葉集』や、平安時代の『枕草子』にも登場していることから、長い間人々に親しまれてきたことがうかがえます。
ヨモギの効果・効能・作用を解説
ヨモギには鎮静作用や精神強壮作用、血行促進作用、抗酸化作用など、たくさんの心身に良い効能があります。
- 鎮静作用・精神強壮作用
- 血行促進作用
- 抗酸化作用
ここではヨモギの代表的な効能について説明します。
効果①:鎮静作用・精神強壮作用
はじめに紹介する効能はリラックス効果です。
ヨモギには香り成分のシネオールとピネンが含まれています。シネオールには鎮静作用、ピネンには精神強壮作用があります。ヨモギの香りは精神的ストレスを解消し、気持ちを安定させてくれます。
効果②:血行促進作用
次に紹介する効能は血行促進作用です。
効果①で紹介したシネオールとピネンの作用によって精神的な緊張状態から解放されることで、副交感神経の働きが活発化し自律神経のバランスが整えられます。血行は自律神経によって調節されているため、自律神経を整えることは血流の改善につながります。
血行を促進することで身体が温まり、冷え性やむくみの改善に効果があります。また、血行の促進は発汗作用にもつながるため、発熱した際には解熱効果が期待できます。
効果③:抗酸化作用
さいごに紹介する効能は抗酸化作用です。
成分として含まれるクロロフィルには身体や血管の老化を防ぐ作用があり、アンチエイジング効果をもたらします。ヨモギは老化の原因とされる活性酸素を抑えることで血液をサラサラにし、動脈硬化を防いでくれます。
また、ヨモギの抗酸化作用によって、シミやシワなどの年齢を重ねるにつれて増える肌トラブルにも効果が期待できます。
その他の効果・作用
ヨモギには、代表的な3つの効果以外にもたくさんの効能や作用があります。ほかには、健胃作用、整腸作用、消臭作用、抗菌作用、美肌作用などの効果も期待できます。
ヨモギの副作用や注意事項、禁忌など
ヨモギを安全に摂取するための注意点をお伝えします。
ヨモギには子宮収縮作用があるため、妊娠中の方は摂取を控えましょう。また、キク科やヨモギにアレルギーがある方も摂取を避けましょう。
そして、自生のヨモギを採取する時は、他の野草と間違えないようにしましょう。特にトリカブトは毒草で、ヨモギに似ていますが猛毒です。ヨモギと誤って摂取することは大変危険なため注意しましょう。
ヨモギのハーブとしての使い方
1 よもぎ茶(ハーブティー)
ヨモギのハーブティーといえば、よもぎ茶です。よもぎ茶は豊かなヨモギの風味が活かされた、さっぱりとした味わいです。
【よもぎ茶の淹れ方】
沸騰したお湯(カップ一杯分)に、ヨモギの茶葉(ティースプーン一杯分)を入れて、好みの濃さにより3~4分ほど蒸らしてからいただきます。
よもぎ茶は茶葉やティーバッグ、粉末タイプなど手に入りやすく、手軽に楽しめるハーブティーです。旬の春にはもちろんのこと、身体を温める作用があるため冬の寒い時期にもおすすめです。
2 草もち
草もちの風味は、どこか古き良き日本を感じられる懐かしさがありますね。
この記事では、はじめて草もちを作る方にも簡単にできる「電子レンジ」と「ヨモギ粉」を使ったお手軽レシピを紹介します。
【草もちの作り方】
〈材料〉
- 上新粉 120g
- ヨモギ粉 大さじ1
- 砂糖 適量
- お湯 200cc
- きな粉・餡子 お好み
〈作り方〉
- 耐熱容器に上新粉・ヨモギ粉・砂糖を入れたら、お湯を加えて混ぜ合わせます。
- 電子レンジ(500W)で3分間加熱したらよく混ぜましょう。これを2回繰り返します。(加熱する際はラップをふんわりかけます。)
- 食べやすい大きさに分けて丸く形を整えます。
- お好みできな粉や餡子をトッピングしたら出来上がりです!
このお手軽レシピに成功したら、よりしっかりとした風味を感じられる摘みたてのヨモギを使った草もち作りにも、ぜひ挑戦してみてくださいね。
ヨモギのよくある質問
ヨモギの茶葉はオンラインで購入できます。また、和菓子の材料などには、スーパーで購入できるヨモギ粉(乾燥させたヨモギを粉末状にしたもの)が便利です。
ヨモギとトリカブトを見分ける際には、葉の裏側を見てみましょう。ヨモギの葉の裏側は細かな毛がたくさん生えて、白っぽくなっています。一方でトリカブトの葉の裏にはヨモギのような細かな毛がありません。
ヨモギは「春を告げる食材」といわれており、3月~5月頃が旬の時期です。ヨモギは多年草ですが成長した葉は硬く香りが強くなるため、食用には春の頃の柔らかい若葉が使用されています。
まとめと研究情報
今回はヨモギについて解説しました。
ヨモギには、鎮静作用や精神強壮作用、血行促進作用、抗酸化作用など、たくさんの効能があることがわかりました。そして、自宅で簡単にできるヨモギの摂取方法として、よもぎ茶の淹れ方や、簡単にできる草もちの作り方についても紹介しました。
よもぎについて興味のある方は、ぜひこの記事を参考にしてみてくださいね。
おさらい
【効果】
- 鎮静作用・精神強壮作用
- 血行促進作用
- 抗酸化作用
【注意点・副作用・禁忌】
- 妊娠中の方は摂取を控えましょう。
- キク科やヨモギにアレルギーがある方も摂取を避けましょう。
- 他の野草と間違えて摂取しないよう注意しましょう。
【おすすめの摂取方法】
- よもぎ茶(ハーブティー)
- 草もち
研究情報(エビデンス)
下記の研究データ、エビデンスを参考にさせて頂きました。
PC-12細胞における酸化ストレス誘発毒性に対するヨモギプリンセプスパンパニーニ由来のカフェオイルキナ酸の神経保護効果
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21535743/
乾燥ヨモギプリンセプスパンパニーニから抽出したフェノール類は、強力な抗酸化作用を持ち、神経保護効果があることが研究で示されました。特にn-ブタノール抽出物には高濃度のフェノール類が含まれ、PC-12細胞の生存率を増加させました。これらの成分は神経変性疾患の予防に役立つ可能性があり、機能性食品として応用できる可能性があります。
アルテミシアプリンセプスパンプ。精油とその成分であるユーカリプトールとα-テルピネオールは、細菌の増殖とNF-κB活性化を阻害することにより、マウスの細菌性膣炎と外陰膣カンジダ症を改善します
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21830186/
アルテミシアプリンセプスパンプの精油(APEO)とその主成分であるユーカリプトールとα-テルピネオールは、ガルドネレラ膣やカンジダ・アルビカンスに対する抗菌効果があり、特にα-テルピネオールは強力です。これらの成分はマウス実験で、細菌性膣炎と外陰膣カンジダ症を改善し、炎症を抑制します。さらに、NF-κBの活性化も阻害します。APEOとその成分は膣の健康に対して有益である可能性があります。
そのパワーを活かした、「自宅で出来る&お腹が減らない」最強のハーブファスティングもオススメなので、興味があれば参考にしてみてください。