ヤロウはキク科ノコギリソウ属の多年草で、ヨーロッパを原産とするハーブです。草丈は1mほどに成長し、初夏から秋にかけてとても小さな花々を咲かせます。
学名Achillea millefoliumの「Achillea」は、ギリシャ神話においてアキレスという英雄がヤロウを止血に使ったことに由来しています。また、「millefolium」はラテン語が語源とされ、ヤロウの葉が象徴された「1000枚の葉・たくさんの葉」という語義に由来しています。
今回の記事では、
- ヤロウの効能を知りたい
- 知っておくべき副作用などはある?
- ヤロウの摂取方法を知りたい
など、ヤロウについての基本情報からお楽しみまでをわかりやすく解説しています。
また、ヤロウのハーブティーの淹れ方やおすすめのアレンジ料理についても紹介していますので、ぜひ参考にしてくださいね。
ハーブについてもっと詳しく知りたい方は、ハーブを使った最強ファスティングを定期的に実践しているハーブマニアが書いているこちらの記事を参考にしてみてください。
ヤロウの基本情報
名称 | ヤロウ |
英名 | Yarrow |
学名 | Achillea millefolium |
和名 | セイヨウノコギリソウ(西洋鋸草) |
分類 | キク科ノコギリソウ属 |
原産地 | ヨーロッパ |
成分 | カマズレン、サポニン、アピゲニン(フラボノイド)、フィトステロール、タンニン など |
使用部位 | 花、葉、茎 |
代表的な作用 | 抗菌作用、抗ウイルス作用、抗炎症作用、女性ホルモン様作用、鎮静作用、健胃作用、発汗作用、利尿作用、止血作用、創傷治癒作用 など |
禁忌、注意事項 |
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利用法 | ハーブティー、料理用ハーブ、精油 など |
ヤロウのハーブとしての歴史は古く、ヨーロッパでは紀元前から薬草として利用されてきました。古代ギリシャ時代には止血の効果がある薬草として利用され、また5世紀頃からはイギリスでも火傷や切り傷に効くハーブとして使用されました。
日本には明治時代に渡来し観賞用として栽培されましたが、ヤロウは繁殖力が強く、今では野草としても生育しています。
ヤロウの効果・効能・作用を解説
ヤロウには、抗菌・抗ウイルス作用、抗炎症作用、女性ホルモン様作用などのたくさんの効能があります。
- 抗菌・抗ウイルス作用
- 抗炎症作用
- 女性ホルモン様作用
ここではヤロウの代表的な効能について説明します。
効果①:抗菌・抗ウイルス作用
はじめに紹介する効能は、抗菌・抗ウイルス作用です。
精油成分に含まれるカマズレンは、発熱を伴う風邪の症状に効果的です。ヤロウは、身体の免疫力を高めて風邪の予防に効果があります。
ちなみに、ヤロウの精油はアズレンブルーと呼ばれる深い青色をしています。これは精油成分のカマズレンが豊富に含まれるためです。
効果②:抗炎症作用
次に紹介する効能は抗炎症作用です。
成分として含まれるフラボノイド類のアピゲニンや、効果①で紹介した精油成分カマズレンには抗炎症作用があります。体内の炎症を鎮める働きによって、花粉症などのアレルギー症状や風邪の症状、関節炎、ニキビなどの肌トラブルにも効果的に働きかけます。
効果③:女性ホルモン様作用
最後に紹介する作用は、婦人科系症状を緩和する作用です。
成分として含まれるフィトステロールには、女性ホルモンのような働きがあります。通経作用により生理不順に働きかけ、鎮痛作用による生理痛の緩和や、更年期障害などの女性ならではのつらい症状に働きかけます。
なお、ヤロウには子宮収縮作用もあるため妊娠中の利用は避けましょう。
その他の効果・作用
ヤロウには、代表的な3つの効果以外にも効能や作用があります。ほかにも、鎮静作用、健胃作用、発汗作用、利尿作用、止血作用、創傷治癒作用などによる効果も期待できます。
ヤロウの副作用や注意事項、禁忌など
妊娠中や授乳中の方、お子様は摂取を避けましょう。また、キク科のアレルギーがある方も摂取を控えましょう。
ヤロウのハーブとしての使い方
ヤロウは、ハーブティーとして楽しんだり、野菜のように料理のアレンジに使用することで手軽に美味しく成分を摂取できます。
1 ハーブティー
ヤロウはハーブティーとして摂取できます。薬草のような風味と苦味を特徴とした味わいです。
【ヤロウ ハーブティーの淹れ方】
沸騰したお湯(カップ一杯分)に、ヤロウの茶葉(ティースプーン1~2杯分)を入れて、お好みにより3分~5分ほど蒸らしてからいただきます。
薬草のような風味や苦味のために飲みにくさを感じる方は、はちみつを加えると飲みやすくなりますよ。
2 お料理のアレンジに
ヤロウの葉は野菜のように使えるため、お料理のアレンジにおすすめです。
フレッシュなヤロウの葉を食用として使用する際は、まだ柔らかい若葉を摘んで使いましょう。ガーデニングで育てた摘みたてのヤロウの葉をサラダに入れたり、メインディッシュの付け合わせに添えてみてはいかがでしょうか。
また少し苦味が気になる方は、茹でたり炒めたりしてヤロウの若葉を火に通してみましょう。いつもの野菜炒めに加えてちょこっとアレンジしてみたり、スープに加えてみるのもおすすめですよ。
ヤロウのよくある質問
ヤロウは丈夫な植物のため、初心者にもおすすめのハーブといわれています。むしろどんどん成長するため、こまめに剪定を行いましょう。
野草のヤロウは本州や北海道でみられます。
ヤロウのハーブティーの苦味対策には、はちみつを加えることがおすすめです。それから、ヤロウの葉を食用に利用する際は、青臭さの少ない若葉を摘んで使用しましょう。また、茹でたり炒めたりすることでも苦みが抑えられます。
まとめと研究情報
今回はヤロウについて解説しました。
ヤロウには抗菌・抗ウイルス作用、抗炎症作用、女性ホルモン様作用など、身体によい多くの効能があることがわかりました。そして、ご自宅で簡単にできるハーブティーの作り方や、野菜のように料理に使用する方法についても紹介しました。
ヤロウについて興味のある方は、ぜひこの記事を参考にしてみてくださいね。
おさらい
【効果】
- 抗菌・抗ウイルス作用
- 抗炎症作用
- 女性ホルモン様作用
【注意点・副作用・禁忌】
- 妊娠中や授乳中の方、お子様は摂取を避けましょう。
- キク科のアレルギーがある方も摂取を控えましょう。
【おすすめの取り方】
- ハーブティー
- お料理のアレンジに
研究情報(エビデンス)
下記の研究データ、エビデンスを参考にさせて頂きました。
局所適用における抗炎症能を有する伝統的に使用されているノコギリソウ(Achillea millefolium L. Asteraceae)油抽出物の推定
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28163113/
この研究は、油ノコギリソウ抽出物が局所皮膚障害の治療に有用であるかどうかを評価しました。実験では、ラウリル硫酸ナトリウム試験を使用し、人工的に刺激された皮膚における生物物理学的パラメータを測定しました。結果から、油ノコギリソウ抽出物は抗炎症特性を持ち、皮膚のpHと水分を調整することが示されました。これは、皮膚科学的用途において有望な植物調製物の一つである可能性があります。
アキレア・ミレフォリウムL.(キク科)の利尿作用におけるブラジキニンおよびプロスタグランジンの関与
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23791807/
この研究では、アキレアミレフォリウムの抽出物と半精製画分の利尿活性をWistarラットで評価し、ヒドロクロロチアジドと同様にヒドロエタノール抽出物とジクロロメタン亜分画は尿量と電解質排泄を増加させることが分かりました。この利尿効果はブラジキニンB2受容体の活性化とシクロオキシゲナーゼの活性に依存しており、アキレアミレフォリウムの利尿作用を支持しています。
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